食べ応え抜群の新鮮なフィッシュバーガー。「もったいない」の思いをチャンスに変えた漁師の妻の挑戦を取材した。
魚は“ワケアリ”の未利用魚
JR博多駅の筑紫口側に出店している賑わいを見せている1台のキッチンカー。フレッシュ・フィッシュバーガー『極海(きわみ)』のキッチンカーだ。
『極海バーガー』の人気は、2種類の魚のフライを挟んだボリューム満点のフィッシュバーガー。3種類のソースは全て手づくり。ボリューム満点で魚はふわふわだ。

「新鮮な魚を使っているところに秘密がある」と話すのは、店主の柴田由維さん。

由維さんが自信を持つ白身のフライ。その美味しさの秘密を探るべく取材班は、福岡市西区の西浦漁港へ向かった。

次々と新鮮な魚が水揚げされる。
この新鮮な魚を獲ってきたのは柴田さんの家族。夫の勝也さんと3年前から加わった息子の翔真さん。祖父の勝善さんの代から続く3世代の漁師一家だ。

「きょうはまあまあよかった。マダイが獲れました。マダイにカワハギ、ヒラメ。脂が乗っておいしいですよ」勝也さんが笑う。

しかし由維さんが、フィッシュバーガーとして使用している魚は、水揚げされた魚ではないという。「こっちです」由維さんが見せてくれたのは、トロ箱に入れらていないさまざまな魚だ。漁港に投げ出されていた。

出荷できない『未利用魚』だ。実は、この未利用魚と呼ばれる魚がキッチンカーで提供されている。
1回の漁で30キロもの未利用魚
未利用魚とは、傷がついていたり、サイズが不揃いだったり、出荷に必要な数が揃わなかったりして、市場に出回らない魚のこと。

サイズは大きいが、数が合わない高級魚のカワハギや傷がついてしまったイトヨリ。調理する際には全でウロコを取ってしまうので全く問題ないという。こうした未利用魚が、一度の漁で、約30キロも出るのだ。

「これまで未利用魚は、近所の人にあげたり、自分たちで一生懸命、食べてはいたり、あとは冷凍。もったいないなと思って…、刺身でも食べられる。全然おいしいのに、これが世の中に出ないというか…」と由維さんは嘆く。

由維さんが結婚し、漁師の勝也さんを手伝うようになって驚いたのが漁のたびに大量に出る未利用魚の存在だった。

「一生懸命、家族が獲ってきているのに…。獲って来る漁師さんにも申し訳ない。魚もかわいそう」と思った由維さんが思いついたのが、この未利用魚を白身フライにして自宅近くで販売すること。

すると、そのおいしさが口コミで広がり、地域のイベントにも呼ばれるようになった。そして3年前にキッチンカーを始め、販売の場を広げてきた。
福岡の美味しい魚をたくさん食べて
最近では、キッチンカーに加えてショッピングセンターでも未利用魚を販売。家庭でも簡単に食べられるよう下処理を施して提供している。

背景にあるのは、魚をもっと身近に感じてもらいたいという思いだ。由維さんは「魚は、調理自体が難しいと言えば難しい。簡単に食卓に並べられるようなかたち、手軽にさっと食べられるかたちを目指している。おいしい魚が福岡にはあるので、たくさん魚を食べてもらいたい」と話す。

夫の勝也さんも「奥さんがいたからこそ、今まで頑張ってこられた。これからも自分たちが獲った魚を広めていって欲しい」とエールを送る。
(テレビ西日本)

