石川県金沢市にある、金沢市公設花き地方卸売市場の一角に、本場の沖縄そばを提供する店がオープンした。その名は「沖縄そば 山原(やんばる)」。店主は沖縄県名護市出身の大城さん。自身が食べたかった故郷の味を金沢で再現したいという思いから店を開いた。しかし、この店の魅力はそれだけではない。「能登と沖縄を食でつなぐ」をコンセプトに、看板メニューの沖縄そばやサイドメニューには、能登産の海ぶどうや、能登の塩、海女さんが採った海藻などがふんだんに使われている。故郷への愛と石川への敬意が込められた一杯に、多くの人が魅了されている。
市場に吹く南国の風、店主の思いが詰まった「山原」

金沢市公設花き地方卸売市場。花の競りが行われる活気ある場所に、ひときわ目を引く大きなのれんがかかっている。そこに書かれた文字は「沖縄そば」。ここが、沖縄県名護市出身の店主・大城さんが腕を振るう「沖縄そば 山原」だ。

店内はカウンター席とファミリー席が用意され、誰でも利用しやすい温かい雰囲気に包まれている。なぜ石川県で沖縄料理の店をオープンしたのか。その問いに、大城さんは笑顔でこう答える。
「僕が沖縄から引っ越してきたときに沖縄料理が全然なくて、それで僕食べたくてしょうがなくて自分でやっちゃいました。」

「ないなら自分で作ろう」その純粋な思いが開店のきっかけだった。店名にある「山原」とは、大城さんの故郷である名護市を含む沖縄北部の、自然が多く残る地域の事を言うという。「その思いを金沢の人に伝えたいと思って『山原』っていう名前にしました」と大城さんは語る。故郷の食文化を金沢の人々に届けたいという、熱い思いが店名に込められているのだ。
故郷の味を金沢で再現…こだわりの「山原そば」
店の看板メニューは、店名を冠した「山原そば」。人気のトッピングがすべて乗った、贅沢な一杯だ。運ばれてきた瞬間、豚とかつおだしをベースにした魚介の風味がふわりと香る。

スープは、豚のうまみと、かつおを中心とした魚介のだしが絶妙に調和し、奥深い味わいを生み出している。そして、このスープに合わせる麺は、大城さんのこだわりが光る。
「僕の地元の製麺所から直送で。ちっちゃい頃から食べ慣れた麺を使いました。」

沖縄・名護で親しまれている本場の麺を、ここ金沢で味わうことができる。太くてコシのあるストレート麺は、しっかりとした食べ応えがあり、スープとよく絡む。その食感は「うどんとラーメンの中間のような味わい」と大城さんが表現するように、唯一無二の存在感を放つ。トッピングには2種類のお肉や、沖縄らしいもずくの天ぷらなどが乗り、見た目も華やかだ。
沖縄の味と思いきや…驚きの「能登産」海ぶどう

沖縄料理といえば、プチプチとした食感が楽しい「海ぶどう」を思い浮かべる人も多いだろう。「山原」でも、キラキラと輝く新鮮な海ぶどうを提供している。口に入れると「ブチブチッ」という音が響き、その鮮度の良さが伝わってくる。
当然、沖縄から取り寄せているのだろうと思いきや、大城さんから驚きの事実が明かされる。
「これ実は能登産の海ぶどうで…」

この海ぶどうは、「もりもり寿司」を運営する企業「ウエノフーズ」の取り組みの一つで、能登町で徹底した管理のもと育てられている。水温や光の当たり具合を調整することで、雪の多い能登でも安定して生産できるという。

能登産であることの最大のメリットは「鮮度」だ。沖縄から取り寄せる場合、どうしても輸送に1〜2日かかってしまうが、能登産であれば朝採れたてのものが届く。「鮮度良く、品質ももう沖縄に引けを取らない」と大城さんが太鼓判を押す通り、その粒の張りは格別だ。この新鮮な能登産海ぶどうは、テイクアウトでも購入可能となっている。

能登の食材が沖縄の味を引き立てる…沖縄と能登をつなぐ架け橋
「山原」の魅力は、沖縄と能登の食材が見事に融合している点にある。そのこだわりは、サイドメニューにも表れている。沖縄の定番おやつ「サーターアンダギー」には、能登の塩を使用。

「能登の塩はやっぱりおいしいで有名なので、それをサーターアンダギーに生かさない手はないと。甘さを塩で引き締めて何個でも食べれちゃう、そんなサーターアンダギーになりました」
さらに、そばのトッピングに使われている「あおさ」も、能登の海女さんが採ったものだ。石川の豊かな食材が、沖縄の伝統的な料理のうまみをぐっと引き出している。まさに、食を通して沖縄と能登をつなぐ架け橋となっているのだ。


独自の沖縄料理をすべての人へ…店主が描く未来
「石川県の方々、県外ももちろんですが、もういろんな人に沖縄料理を食べてほしい。そして能登の食材や石川の食材も使った、ここ独自の沖縄料理を皆さんに食べていただきたいなと思っております」
大城さんは、今後の展望をそう語る。その思いをより多くの人に届けるため、特別なイベントも企画している。

毎月10日を「海ぶどうの日」とし、そばを注文した客に能登産の海ぶどうを無料でプレゼントするという。

故郷への愛と、新しい土地である石川への敬意。その二つが融合して生まれた「山原」の沖縄料理。それは単なる郷土料理ではなく、人と地域をつなぐ、新しい食文化の始まりなのかもしれない。営業時間の詳細は店のInstagramで確認を。一度訪れれば、金沢で感じる沖縄の温かい風と、店主の熱い思いに触れることができるだろう。
沖縄そば 山原
住所:石川県金沢市二口町80-(公設花き地方卸売市場)
営業時間:午前11時~午後5時
定休日:日曜・第2,第4月曜
(石川テレビ)
