古くから知られる生活習慣病の一つ、痛風。病名の由来は「風が吹いただけで痛みを感じる」ことにある。30代から40代の男性に多く発症し、食生活や飲酒習慣と深く関わっていることは良く知られているが、実は夏場には発作のリスクがさらに高まるという。
尿酸が関節の中で結晶化…痛みの正体
関節に強い炎症と痛みを引き起こす、痛風。典型的な症状としては、足の親指の付け根あたりの関節に現れる痛みだ。福井県済生会病院・内科主任部長の金原秀雄医師は「痛風は痛みを伴う関節の炎症のこと」と説明する。
その原因は「尿酸」にある。尿酸が血液中に過剰に蓄積されると、関節の中で結晶化する。この結晶が関節を刺激し、炎症や腫れ、激しい痛みを引き起こすのだ。
発症の引き金となるのが、食事や飲み物に含まれる「プリン体」だ。プリン体は肉やビールなどに多く含まれる旨味成分として知られており、通常は肝臓で尿酸に代謝されたあと、尿として体外に排泄される。しかしプリン体を過剰に摂取すると、尿酸が体内に蓄積されてしまい、痛風の発症リスクが高まる。
血中の尿酸値が7.0ミリグラムを超えると、いつ発作が起きてもおかしくない状態とされる。この数値を超えた状態が続けば続くほど、発症の可能性は上がっていく。
ちょっとした違和感から歩行困難な痛みに
痛風の発作は段階的に悪化していく。金原医師によると最初は「ちょっと違和感のあるような、ズキズキした感じ」から始まる。それが次第に強い痛みへと変化し、放置すると1〜2週間ほど足全体が赤く腫れ上がり、歩行が困難になることもある。
「ちょっと触れただけでも痛く、動けない」という状態に至ることも珍しくない。
特に注意が必要なのは30代から40代の男性だ。「女性ホルモンの兼ね合いで、女性は尿からの排泄が補助的に働いているので、痛風が起きにくいと言われている」と金原医師。一方、男性はその働きが相対的に劣るため、尿酸がたまりやすいというのだ。
夏は「発作のシーズン」脱水で血中の尿酸濃度が上昇
さらに、痛風の発作は夏場に起こりやすいといわれる。その理由は「暑さそのもの」ではなく、「脱水」にある。
暑い時期は発汗によって体内の水分が失われやすく、脱水気味の状態になると血液が濃縮される。血液が濃縮されれば、当然ながら血中の尿酸濃度も上昇する。さらに、腎臓の働きも低下しやすくなるため、尿酸が体内にたまりやすい状況が重なる。
金原医師は次のように指摘する。「暑い時期に外でBBQをしてビールを飲むのは、痛風の危険性も伴う」夏のアウトドアを楽しむこと自体は問題ないが、水分補給を怠らず、飲酒量にも気をつけることが重要だ。
予防には「食生活の中ではアルコールを飲まないように、減らすようにという努力が必要だ」と金原医師。
食事面では、海藻類の積極的な摂取も有効だとされる。ワカメやひじきなどに含まれるミネラルは、尿酸の排泄を促す作用があるとされており、尿をアルカリ化することで尿酸が溶けやすく排泄されやすくなるという効果も期待できるという。
尿酸値チェックが第一歩「体のサインを見逃さず、受診を」
痛風の予防と早期発見のためには、定期的な健康診断での尿酸値確認は欠かせない。血中尿酸値が7mg/dLを超えている場合は、自覚症状がなくても要注意の状態である。健康診断の結果票に記載される「尿酸」の項目をチェックしてみよう。
痛風は「風が吹いただけで痛い」という名の通り、発症すれば日常生活を大きく妨げる病気だ。しかし、食生活の見直しとアルコール量のコントロール、そして適切な水分補給によって、そのリスクは大きく下げることができる。
「足の指がムズムズする」「健康診断で尿酸値が高いと言われた」「食生活が乱れて最近太ってきた」といった体のサインを見逃さず、早めに医療機関を受診することが重要だ。

