食事中も寝る前も、スマホが手放せない―その習慣が、知らぬ間に脳をむしばんでいる可能性がある。ある調査では、20代以下の半数以上が1日4時間以上スマホを使っているというデータも。

専門家は「癒やしのショート動画を見ていても、脳はまったく休んでいない」と警鐘を鳴らす。集中力の低下、睡眠の質の悪化、うつ状態と、スマホの使いすぎが引き起こすリスクと、簡単にできる対策を解説する。

10代から70代の半数以上が「1日1時間以上」使用

現代人にとってスマホはもはや生活インフラだ。しかし、その便利さの裏には見過ごせない健康リスクが潜んでいる。

スマホ使用時間の調査結果(NTTドコモ モバイル社会研究所)
スマホ使用時間の調査結果(NTTドコモ モバイル社会研究所)
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NTTドコモ モバイル社会研究所の調査によると、10代から70代の約半数以上が1日1時間以上スマホを使用していることが分かっている。さらに、20代以下では半数以上が1日4時間以上という結果が出ている。

スマホを使っている間、脳は常に画面の情報に反応し続けている。通知が届けば画面を確認し、SNSを流し見し、動画を次々と再生する。その間、脳は一切休むことができない。

福井県済生会病院・脳神経内科の堀内祐介医師
福井県済生会病院・脳神経内科の堀内祐介医師

スマホ脳疲労に詳しい福井県済生会病院・脳神経内科の堀内裕介医師はその仕組みを「スマホを使っていると注意がいろんな方向に切り替わる。その作業は、基本的には疲れるもので、脳が休めないのが問題」と説明する。

スマホの使い過ぎは集中力低下につながる
スマホの使い過ぎは集中力低下につながる

長時間スマホを使用すると、その間ずっと脳が休めなくなり、集中力の低下につながるという。加えて、寝る前にスマホを使うと、画面からの強い光の影響で夜中に目が覚めるなど、睡眠の質も著しく悪化する。

睡眠の質が落ちれば、翌日の記憶力や判断力にも影響が及ぶ。堀内医師は「覚えが悪くなる、うまく物事ができない、うっかりさんになる」といった症状を指摘する。

睡眠の質が低下し、うつ状態になることも

集中力や記憶力の低下にとどまらず、精神面への影響も少なくない。堀内医師は「睡眠の質が悪くなれば、相関して人は抑うつ状態で落ち込みやすくなる」と語る。

スマホの使い過ぎが引き起こすリスク
スマホの使い過ぎが引き起こすリスク

スマホの使いすぎが引き起こしうるリスクは▼集中力の低下▼物覚えの悪化▼睡眠の質の低下▼気分の落ち込み・うつ状態。

これらは単独で起きるわけではなく、連鎖的に悪化していくのが特徴だ。睡眠の質が下がれば集中力も落ち、集中力が落ちれば仕事や学業に支障をきたし、それが精神的な落ち込みへとつながっていく。

家族との会話がちぐはぐになったら…

では、どれくらいの時間が「使いすぎ」なのか。堀内医師は「適正な時間は人それぞれ」としつつも、判断の指標をこう示す。

「スマホを使う時間が増えたと同時に、家族との会話がちぐはぐになったり、集中して聞けなくなったり。または、仕事に集中できない、学業に集中できない。そんなことがあれば、おそらくスマホを使いすぎている」

基準となるのは日常生活への影響
基準となるのは日常生活への影響

数字よりも、自分の日常生活への影響を基準に考えることが重要だということだ。特に注意が必要なのは、「だらだらと見続けてしまう時間」だという。

「SNSに没頭してしまうとか、動画コンテンツを見すぎてしまうとか、そういったことは避けたほうがいい。癒やしのショート動画であっても、見ていれば脳はまったく休んでいないので」

スマホの設定で「使いすぎない仕組み」を

対策として有効なのが、スマホ本体の設定を活用することだ。多くのスマートフォンには、アプリごとの使用時間を制限する機能が搭載されている。意志の力だけに頼るのではなく、端末レベルで制限をかけることで、だらだらとした使用を物理的に防ぐことができる。

自分のスマホで使い過ぎを防ぐ設定を確認しよう
自分のスマホで使い過ぎを防ぐ設定を確認しよう

堀内医師は「スマホを、便利にかつ健康の保たれる範囲で使うことを意識したほうがいい。現代人に重要なスキルなのかな」と述べ、スマホとの付き合い方そのものをスキルとして捉えることの大切さを強調している。

SNSそのものを否定する必要はない。気をつけるべきは、「なんとなく見続けてしまう時間」だ。

使いすぎは集中力や睡眠だけでなく、うつ状態につながる恐れもある。スマホの設定でアプリの使用時間を制限するなど、意識的に対策を始めてみてはどうだろうか。

福井テレビ
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