胃酸が食道へと逆流し、粘膜を傷つける「逆流性食道炎」。成人の10〜20%が発症するとされ、胃や食道の病気の中で最も患者数が多いともいわれている。重症化すると出血し、放置すればがんにつながる可能性もある一方で、特定の胃薬で90%は治るという側面もある。医師に発症のメカニズムや予防法を詳しく聞いた。
「筋肉が緩む」逆流が起きるメカニズム
逆流性食道炎とは、胃酸や胃の内容物が食道へ逆流し、食道の粘膜が傷付いて炎症が起きる病気である。
鍵を握るのが、胃と食道の間に位置する「下部食道括約筋」と呼ばれる筋肉だ。この筋肉は食べ物の通過を助ける一方で、胃の内容物が逆流しないよう防止する役割も担っている。
吉田医院・消化器内科の沖野真理子副院長は「その下部食道括約筋が緩んでしまうということが原因の一つ」と説明する。
下部食道括約筋の力が弱まることで、胃の内容物が食道へとひっきりなしに逆流し、さまざまな症状を引き起こす。加齢とともにこの筋肉は緩みやすくなるとされ、高齢者に特に多い病気でもある。
胸焼け、ゲップ、口の中が酸っぱい…初期症状
逆流性食道炎になるとどのような症状が現れるのか。
沖野副院長は症状について「重症になると傷から出血をして血を吐くことになるが、その前段階の症状としては胸焼け、胃から上がってくるように逆流する感じ、ゲップがある」と話す。
これらに加え、みぞおちの痛み、咳、口の中が酸っぱくなるといった症状も現れることがある。こうしたサインが続く場合は注意が必要だ。
もし発症して内容物が逆流してきた場合はそのまま吐き出し、胃酸を流す必要がある。
前かがみも危険…日常習慣が発症リスクに
逆流性食道炎の予防では、日々の生活習慣の見直しが重要になる。
沖野副院長は「脂っこい食事」と「喫煙」を症状を悪化させる要因として挙げる。さらに「前かがみになると圧がかかり(胃から)上がりやすくなる」ため正しい姿勢を心掛けるよう呼び掛ける。
夜間に逆流しやすいと感じている人は、夕食後2、3時間は寝るまでに時間を空け、頭を高くして寝ることで逆流しにくいといわれている。食後すぐに横にならないことも重要だ。
さまざまな予防法の中で、沖野副院長が最も大切だと語るのが「食べ方」だ。「食べ過ぎ、早食いを防ぐ。おいしいものを適度な量を食べる」こと。
急いで大量に食べることで胃への負担が増し、逆流が起きやすくなる。ゆっくりと適量を楽しむ食べ方が、逆流性食道炎の予防にとっても、全身の健康維持にとっても有効だという。
放置するとがんになる可能性も
逆流性食道炎は繰り返しやすい病気でもある。食道の粘膜は胃酸に弱く、胃酸にさらされると炎症を起こしやすい。そのため、症状を放置しておくとがんにつながる可能性もあるという。
一方で、逆流性食道炎は特定の胃薬で90%は治る病気でもあるため、胃酸が逆流する感覚や胸焼けが続く場合は、早めに医療機関を受診するようにしよう。
【逆流性食道炎の予防法】
* 脂っこい食事や喫煙を控える
* 姿勢を正す
* 夕食後2、3時間空けてから、頭を高くして寝る
* 食べ過ぎ・早食いをしない

