毛づくろいの2つ目の理由は、寄生虫を取り除くため。

毛づくろいしないとノミが倍増

実験で猫にエリザベスカラーをつけて毛づくろいができないようにすると、3週間でノミが約2倍に増えるというデータがあります。

また別の実験では、3日間エリザベスカラーをつけて毛づくろいができなかった猫は、カラーが外されるとその後12時間にわたり、口による毛づくろいが67%、足でかく毛づくろいが200%増加するというデータがあります。

毛づくろいができなかった日の分を取り返す勢いで毛づくろいしたかったのでしょう。

猫にとって服はストレス(画像はイメージ)
猫にとって服はストレス(画像はイメージ)

現代の飼い猫はノミなどの寄生虫駆除を行っていると思いますが、大事なのは「毎日たくさんの時間を毛づくろいに費やす」という習性が猫には根強く残っているということ。

それができないのはストレスです。ですから病気などのどうしようもない理由がない限り、猫に服を着せるのは酷なこと。服の下は毛づくろいできないのですから。

情緒を安定させる

3つ目の理由は、「情緒を安定させる」ためです。

ジャンプに失敗して焦った猫は、落ち着きを取り戻すために短い毛づくろいをします。これは、皮膚をなめるという刺激が動揺した気持ちを落ち着かせるからです。

親がなめると情緒が安定してよく育つ(画像はイメージ)
親がなめると情緒が安定してよく育つ(画像はイメージ)

哺乳類の親は新生児をたくさんなめて毛づくろいをしますが、これは皮膚に優しい刺激を与えると成長ホルモンが出てよく育ち、さらに愛情ホルモンのオキシトシンも出て情緒が安定するためです。

毛づくろいできないように制限された猫がストレスを抱えるのもうなずけるでしょう。

毛づくろいできないとストレスに(画像はイメージ)
毛づくろいできないとストレスに(画像はイメージ)

慢性ストレスにさらされた猫は情緒の安定を得ようと過剰に毛づくろいして、体の一部が脱毛することがあります。これはこれで治療が必要になるのですが、いかに毛づくろいが猫にとって大切か、わかっていただけると思います。

富田 園子(とみた そのこ)
編集&ライター。日本動物科学研究所所属。東京在住。

富田園子
富田園子

編集&ライター、日本動物科学研究所所属。
幼い頃から犬・猫・鳥など、つねにペットを飼っている家庭に育つ。編集の世界にて動物の行動学に興味をもつ。猫雑誌の編集統括を8年務めたのち、独立。哺乳類動物学者の今泉忠明氏に師事。現在は7匹の猫と暮らす。東京在住。