マイページ
猫が水をよく飲むのは病気のサイン?腎臓病・糖尿病・甲状腺機能亢進症…猫の病気の基礎知識|FNNプライムオンライン
プライムオンライン ライブラリー

猫が水をよく飲むのは病気のサイン?腎臓病・糖尿病・甲状腺機能亢進症…猫の病気の基礎知識

Google ニュース プリファードソース

著者の峯田淳さんが10年寄り添った愛猫・ジュテ。ガンと判明し、無我夢中で過ごした47日間の闘病の日々をつづった『猫のいる人生』(新潮新書)から一部抜粋・再編集してお届けする。

「最近よく水を飲む」「食べるのに痩せる」「物にぶつかるようになった」そんな変化は病気のサインかもしれない。ジュテとの闘病を経験した著者が、猫に多い病気の症状や治療法、早期発見のポイントについて獣医師に取材した内容を紹介する。

『猫のいる人生』(新潮新書)
この記事の画像(11枚)

ジュテを襲ったのはガンだったが、猫に多い病気といわれるのが腎臓病、糖尿病、甲状腺機能亢進症。基礎知識をかかりつけの獣医師に聞いてみた(2026年2月)。 

【腎臓病】 

腎臓は血液を濾過して体に不要な老廃物や水分を尿として排出し、体液のバランスを調整している。機能が低下してくると多飲多尿、食欲低下、嘔吐、脱水、便秘、体重減少、貧血など、様々な症状を引き起こす。

末期になると尿毒症になり、消化器障害、けいれんなどの神経症状を伴う。慢性と急性があり、慢性は数カ月から数年かけて悪くなっていくが、急性は短ければ数時間、数日の間に機能が一気に低下する場合もある。 

「腎臓は通常、左右に1個ずつありますが、ダメになるとダメになった部分は再生しない臓器です。残っている部分で全部をカバーしないといけないので、悪くならないように、進ませないことが大切。腎臓病と診断された場合、食事療法や薬などで進行を遅らすようにします。 

画像:イメージ
画像:イメージ

自宅でもわかる腎臓病のサインとしては、やたらとお水を飲むことと尿の異常です。明らかに飲み水の減り方が速いとか、水を飲んでいるのをよく見かけるとか、日頃から気をつけて見ていると気づくと思います。 

オシッコは量や回数が多くなります。固まる砂を使っている場合は塊が大きな球になったということがよくあります。心配だという方にはオシッコを採ってきてくださるようにお願いします。

オシッコはどうやって採ればいいのかというと、砂を使っている場合は砂の上に濾紙のような採尿シートを細かく切って敷き、オシッコが浸み込んだものを持ってきてもらい、絞って調べます。砂に浸み込んだ塊を持っていらっしゃる方もいますが、液体状態でないと検査はできません。

また、ウロ・キャッチャーというスポンジがついた棒もあり、それで直接、採尿する方法もあります。専用のオタマやサランラップを敷いて採ってくる方もいらっしゃいます。 

今はシステムトイレを使っている飼い主が多いので、その場合は下をきれいにして何もない状態にし、溜まった尿をスポイトや注射器で吸い取ってもらうか、採尿シートを敷いて、それごと持ってきてもらいます。 

画像:イメージ
画像:イメージ

見るのはオシッコの比重やタンパク質など。オシッコの色が黄色ではなく、薄く、透明な水っぽい状態の時は大抵、比重が低いので、腎臓病が疑われます。 

猫の状態も大切です。

脱水症状を起こしていないかどうか。人間と同じように猫の体も6、7割は水分でできている。脱水すると油が切れた機械のような状態になって動きにくくなり、寝てばっかりやジッとしていることが多くなります。自宅で脱水していないかどうかを確かめる時は皮膚をつまんで持ち上げてみてください。普通に潤っている時はすぐ元に戻りますが、脱水症状だとジワジワと戻るか、だらんとして戻らないこともあります。

ツルゴール反応、テントテストといわれるもので、動きが鈍くなったと思ったらやってみてください。 

飲水量やオシッコのことが気になったら、猫を病院に連れて行きましょう。病院では血液検査を行い、おもにBUNやクレアチニン、SDMAという数値を見ます。これらの数値で進行の度合いがステージ1からステージ4のどの段階なのかを診断します。

それから血液中の電解質やリンなどの数値、貧血の有無なども調べます。できれば、エコー検査もしたいですね。 

腎臓病とわかったら食事療法、投薬、点滴などをやることになります。 

食事療法では、まだ初期の段階で脱水もひどくなく、食欲もあるような場合は、タンパク質を制限した療養食をお勧めします。今は以前に比べていろいろなメーカーがタンパク質を調整した腎臓病のための療養食を出しています。何種類かありますから、その中で食べられるものを食べてもらうようにします。

水も制限せずに飲めるよう、置き場所や水の器の数を工夫してもらいます。 

画像:イメージ
画像:イメージ

進行してくると、食事療法とともに投薬も必要です。腎臓に直接働きかけて、血流や血圧、タンパク尿の改善を図るもの、尿毒症の原因物質を減らすものなどを組み合わせて治療します。この頃になると、皮下補液も必要になってきます。 

もっと悪くなると、食事もできず、皮下補液では間に合わず、器械を使って点滴をすることになり、入院が必要になります。 

とにかく早期発見が大切です。

猫の体に変化が出てくるのは7、8歳頃から。10歳くらいになると心配になるという人も多いです。まだ体重も減っていないし、ステージが早い段階ならまず食事を切り替えてみる。最近の猫は長生きですが、長生きしている猫は腎臓の状態がいいなと感じています。

定期的に血液検査などをやって、できるだけ早く見つけ、悪かったら対処することをお勧めします。ワクチンを打ちに行く際に、一緒に検査して数値を確認するのがいいかもしれません。 

私が今、世話している猫は22歳になりますが、15歳くらいから腎臓の数値が変わらない。もちろん、食事にも注意していますが、ストレスフリーなのもいいのかもしれません。逆に大病したり、違う病気で薬を飲んでいたりすると、腎臓に負担もかかるので、悪くなるのも早いですね。 

薬代は決して安くはないです。不安な時は先に病院で訊いてみてはどうでしょうか。ただ、折角いい薬があっても、飼い主が毎日、飲ませることができるかもネックです。投薬って意外と難しい。食欲がないのですから、食事に混ぜてとはいかない。食欲を促す薬というのもありますが、これも投薬なので同じです」 

【糖尿病】 

血液中に含まれるブドウ糖の数値、いわゆる血糖値の猫の参考基準範囲は下限値71~上限値148。この数値が上がらないように血糖値を降下させる作用があるのが、膵臓から分泌されるホルモンのインスリン。糖尿病は血糖値を安定させるためのインスリンの量の低下、もしくは働きが悪くなるのが原因。 

その原因として多いのは高脂肪、高カロリーな食事の食べ過ぎやストレス、運動不足といわれている。インスリンが不足して細胞が糖を取り込めなくなると多食になるが、いくら食べても体重は減少してくる。さらにエネルギーが不足して元気がなくなり、毛艶も悪くなる。

末期になると、腎機能障害、白内障、肝疾患などの合併症も引き起こす。ケトアシドーシスといわれる状態になると、意識障害・昏睡、呼吸困難に陥り、生命の危機も──。 

「糖尿病は腎臓病と比べると発症は少ないですが、症状の入口はどちらも同じで、多尿多飲傾向になります。『最近、水をよく飲む』という飼い主さんからは同時に、よく食べるという話も聞きますし、糖尿病はとくに太っている猫に多いですね。 

画像:イメージ
画像:イメージ

ただし、腎臓病と糖尿病では食事療法に関しては異なります。腎臓病はタンパク質を制限しますが、糖尿病は炭水化物を控え、タンパク質高めの食事に切り替えます。もっとも、食べたらそれをエネルギーに変えて使えばいいのですが、動かずにダラダラとしたりすると体に溜め込んでいくことになります。

しかも、しょっちゅう食べてばかりいると、インスリンが足りなくなり、血液中のブドウ糖を利用できなくなります。 

そのために必要になるのがインスリン注射です。インスリンを打つと、血液の中の糖を細胞内に取り込んで血糖値を下げることができます。インスリン注射は皮下注射です。やりやすいところならどこでもいいのですが、やはり猫は首の後ろが緩いので、そこが多いですね。インスリン注射は自宅で打つことができるように練習してもらいます。

それを12時間おきなどで専用の細かい目盛りがついたシリンジで打ちます。どれくらいの量を打つと血糖値がどれくらいの速度で下がるのか、適量が決まるまで何度も血液検査が必要です。最近は体に貼り付けたセンサーで血糖値を測れるものもあります。 

ただ、インスリン注射が始まると、飼い主はお出かけが難しくなります。猫も大変だけど、人間の生活も制約されるので大変です。最近になって1日1回飲ませる薬もできました。当院ではまだ使っている猫はいませんが、注射ではないので、飼い主にとってはハードルは低いですね。

でも、自宅でオシッコの検査をマメにしてもらわなければいけませんし、安定するまではやはり大変です。 

それから気をつけなければいけないのはもちろん食事です。血糖値を急速に上げない食べ物にします。高タンパク質、低炭水化物、そして繊維質多めのものを与えて、血糖値がすぐには上がらないようにすることが大切です。 

今は各社から療養食が出ているので、利用してもらうことが多いです。糖尿病を発症する猫の多くは太っていて、食べる量も多いのですが、与えるのは人間です。内容とともに食事量を制限してあげることが大切です」 

関連記事
【よく一緒に読まれている記事】
約6割の飼い主が愛猫の飲水量を把握していない。水分不足が招く猫の病気と1日に必要な水分量の計算方法
約6割の飼い主が愛猫の飲水量を把握していない。水分不足が招く猫の病気と1日に必要な水分量の計算方法
プライムオンライン ライブラリーの他の記事
人気の「麻辣湯」ってどんな料理?中国事情に詳しいジャーナリストが2つの人気チェーンを食べながら考えたこと
人気の「麻辣湯」ってどんな料理?中国事情に詳しいジャーナリストが2つの人気チェーンを食べながら考えたこと
ライフ
東大卒・元外銀勤務の若者が刺しゅうの世界へ。月90万円を捨て口座残高が2000円台になってもミシンの前に座ることで得た「仕事の手応え」
東大卒・元外銀勤務の若者が刺しゅうの世界へ。月90万円を捨て口座残高が2000円台になってもミシンの前に座ることで得た「仕事の手応え」
ライフ
「辞める」「もう一日だけ」東大卒で元外銀勤務が未経験の「刺しゅう屋」へ。9カ月悩み抜き“笑い転げた”翌日に出した退職という答え
「辞める」「もう一日だけ」東大卒で元外銀勤務が未経験の「刺しゅう屋」へ。9カ月悩み抜き“笑い転げた”翌日に出した退職という答え
ライフ
子ども部屋は何歳で作るべき?一級建築士ママが勧める「適齢期」より「適配置」勉強する部屋になるかはレイアウト次第
子ども部屋は何歳で作るべき?一級建築士ママが勧める「適齢期」より「適配置」勉強する部屋になるかはレイアウト次第
ライフ
一覧ページへ
×