4年に一度のサッカーの祭典、FIFAワールドカップ2026では選手や関係者への誹謗中傷が急増している。新ルール適用による選手退場やサポーター同士や解説者による差別行為なども発生。こうした事例が相次ぐのは、AIによる可視化や試合の熱狂が背景とされるが、まずは節度ある行動とリスペクトが求められる。
FIFAワールドカップ2026で相次ぐ誹謗中傷
気になる疑問やニュースの「ナゼ」を解き明かす「どうなの?」
熱戦が続くFIFAワールドカップ2026だが、大会をめぐり誹謗中傷が後を絶たない。
安宅晃樹キャスター:
FIFAの発表によりますと、選手や監督らへの誹謗中傷コメントというのが、この大会が始まって約1週間で53万件、“有害コメント”として削除されたということで、この数字、前回大会は1大会で28万件ほどでしたので、それを優に上回る数字なんです。
山崎夕貴キャスター:
ちょっと信じられない数ですよね。前大会は大会期間を通して28万件ですから、ちょっとビックリするペースですね。
安宅キャスター:
FIFA(国際サッカー連盟)の会長は、ヘイトスピーチはサッカーそのものへの攻撃と話すなど、誹謗中傷対策、差別発言対策などが進んでいるんですが、これまでにピッチの内外でさまざまな問題が起きているんです。

安宅キャスター:
そこで今日のどうなの?は「“異例ずくめ”のW杯、中傷や差別相次ぐ」について見ていきます。
そもそもヘイトスピーチというのは、ある人種や宗教などを対象にして攻撃的な言葉を発することなんですが、こうした行為や行動をなくそうとして、FIFAは今大会から新しいルールを導入したんです。
安宅キャスター:
どんなものかといいますと、口論の際に差別的な発言を隠すために口元を覆うしぐさ、これをすることを新たにレッドカード、つまりは退場処分の対象に加えたんです。
実際に、20日に行われたトルコ対パラグアイの一戦で、新ルールによる初の退場者が出ました。
試合中の接触プレーを発端に両チームの選手がもみ合いになるなど一時中断。
その最中に問題の行為は起きました。
安宅キャスター:
パラグアイの10番、ミゲル・アルミロン選手(32)が口論の際に口を覆う動作をしたとしてレッドカード、一発退場となったんです。
この試合は結局、数的不利になったんですが、パラグアイが1対0で勝利するという結末になりました。
日本戦やサポーター同士でも問題発言や差別行為
また、日本の初戦・オランダ戦なんですが、このオランダ戦をめぐって海外の解説者が謝罪に追い込まれる事態になったケースもおきました。
安宅キャスター:
どういうことかといいますと、元オランダ代表で現在は解説者として活動するファンデルファールト氏は、地元のテレビ局で日本戦を解説していたんですが、日本が同点に追いついた時に、オランダの守備の甘さについて指摘するとともに、「日本人選手は顔が似ているからDFが守りづらかったのでは」という発言をしたのです。
その場で謝罪をして「冗談だよ」と釈明をしたんですが、やはり人種差別ともとれる発言が物議を醸しました。その後、ファールト氏は正式に謝罪する事態となったのです。
榎並大二郎キャスター:
ファンデルファールトさんというと日本でもファンが多い元スター選手ですから、こういう発言をしたんだということを知って悲しんだファンの方もいたと思います。
安宅キャスター:
こういったいろいろなトラブルですが、サポーター同士でも起きていました。
韓国対チェコの試合中に韓国のインフルエンサーが自撮りをしていたんですが、その際、このインフルエンサーの後ろに男性サポーターがいて、その男性がアジア人への差別とされる「つり目」のポーズをする様子がカメラに捉えられていたのです。
この女性は「私が過敏すぎるのかな…」としながらも、動画をネットに投稿したところ拡散され、つり目のポーズをした男性が特定。さらにはその男性が自身のSNSで謝罪する事態となったのです。
オランダ選手に対し日本語による誹謗中傷…
安宅キャスター:
また、日本語による誹謗中傷というのも確認されています。そのきっかけは、日本対オランダ戦で見られたシーンでした。
強豪オランダに対し、劇的ドローに持ち込んだ日本の初戦。
久保建英選手(25)は日本の1点目をアシストするなど、攻守において活躍しました。
しかし後半26分、その久保選手とオランダのディフェンス、ドゥムフリース選手(30)が接触。左ひざを負傷し、試合後には久保選手が車椅子で会場を後にする姿も。
すると、ドゥムフリース選手のインスタグラムに日本語による誹謗中傷コメントが相次いだんです。
安宅キャスター:
内容の具体的な紹介は控えますが、人種や見た目を揶揄するような差別的なコメントがあり、「イット!」が確認する限りでも数十件のこういったコメントがあったのです。
三宅正治キャスター:
サッカーというのはコンタクトスポーツですから、ああいったことは起き得るし故意ではないと僕は思いますし、批判と誹謗中傷は違うんだということを分かってほしいし、あとは、真のサポーターならこんなことはしないと僕は思います。
誹謗中傷や差別行為が増えた理由…可視化と高ぶる感情
安宅キャスター:
なぜこんなにもワールドカップで誹謗中傷や差別的な発言が多く見られるようになったのか、専門家に話を伺いました。
安宅キャスター:
スポーツ界への誹謗中傷の抑止活動をする団体の高橋駿代表によりますと、まず1つ目は「AIの精度向上」というのがあるということです。AIの精度が上がったことによって有害なコメントをきちっと捉えることができる、可視化することができるようになったということがあると、これはいい面もあるとは思います。
そしてもう1つはスポーツ特有のものですが、やっぱり試合を見ていても「誰のミスなのか分かりやすい」、その人のせいだと言いやすいような土壌がある。皆さん、試合を見ていて感情が高ぶることもあると思います。この感情の高ぶりというのが誹謗中傷につながる可能性もあると高橋さんは指摘しています。
山崎キャスター:
感情が高ぶる気持ちは分かります、私も試合を見ていたら力が入りますから。でも、そこから誹謗中傷につながるのはちょっと理解しがたいですね。真のサポーターなら節度を持ってと思いますよね。
安宅キャスター:
ということで、23日の「どうなの?」は、「“異例ずくめ”のW杯、中傷や差別相次ぐ」について見ていきましたが、今回のワールドカップをめぐっては、海外の選手に向けられた日本語による悪質な誹謗中傷も確認されました。
安宅キャスター:
また、こうした背景について専門家からは、やはり4年に一度の興奮、高ぶりというのが誹謗中傷を生みやすいのではという指摘の声もありました。
榎並キャスター:
エネルギーの行き先は攻撃ではなく、全て応援に注がれることを祈って、これからの大会がリスペクトにあふれるものになってほしいなと思います。
(「イット!」6月23日放送より)

