近年、美容液ファンデーションの台頭により、ベースメイク市場の価値基準は大きく変化しています。そうした中、来年ブランド誕生40周年を目前に控えたキスミー フェルムが掲げたのは「リキッドファンデの完成形」という挑戦的なテーマでした。
使用感とカバー力という相反する要素の両立、限られた期間での開発、そしてあらゆる知見を結集した試行錯誤の先にたどり着いた一つの答え。ブランドの転機となる本商品の誕生には、どのような背景と想いがあったのか――その舞台裏について商品設計部の横田英里香に話を聞きました――。
株式会社伊勢半 開発本部 商品設計部 横田英里香
市場の変化が生んだ、“完成形”への挑戦
近年、ベースメイク市場ではリキッドファンデーションの存在感が急速に高まっています。従来はパウダー中心だった市場にも変化が起き、より自然な仕上がりやスキンケア効果を兼ね備えたアイテムが支持されるようになりました。特に美容液ファンデーションと呼ばれるカテゴリーの台頭は、市場全体の価値基準を大きく押し上げています。
こうした背景の中で、キスミー フェルムにおいても新たな挑戦が求められていました。これまでパウダーやBBを主軸としてきたブランドにとって、リキッドファンデーションは未開拓の領域でした。しかし、市場の広がりとともに「このカテゴリーを見過ごすことはできない」という共通認識が社内で強まりました。さらに、2027年のブランド40周年という節目を前に、次の時代を象徴する商品が必要とされていました。
そこで掲げられたのが、「リキッドファンデの完成形」という開発テーマです。単なるラインナップ拡充ではなく、市場の既存商品を超える価値を届ける。その明確な目標のもと、本商品の開発はスタートしました。
相反する価値をどう両立するか—“矛盾の克服”という設計アプローチ
本商品の開発において最大のテーマとなったのは、「矛盾の克服」でした。通常、ファンデーション設計においてカバー力と使用感はトレードオフの関係にあり、美容液のようなみずみずしさを追求すれば、どうしてもカバー力や耐久性は弱くなってしまう傾向にあります。一方でカバー力を高めると、厚塗り感や重さが出てしまう。この相反する要素をいかに高次元で両立するかが、大きな挑戦でした。
競合商品との差別化を図るべく強力な訴求点を追い求め、開発チームが目指したのは、「使い心地のよさと、理想の肌印象」を両立させる絶妙なバランスでした。これを形にするため、研究所とも密に連携し、試作と検証を繰り返し、妥協することなく理想の質感を探り続けました。
キスミー フェルム セラムカバーリキッドファンデ
そして、試行錯誤の末にたどり着いたのが、世界初※となる独自の成分の組み合わせでした。この処方によって、表面を均一で薄い膜でぴったりと覆うことが可能に。横田はこれを「うるおいパックの上に、極薄のラップで密着させるようなイメージ」と表現します。
これにより軽やかに伸びる心地よさと、しっかりとしたカバー力、さらに長時間美しい仕上がりが持続する耐久性を両立することに成功し、開発チームが目指した“完成形”に一歩近づく手応えを得た瞬間でした。
※肌に密着し化粧持ちとうるおいが持続するイソステアリン酸デキストリンとイソマルトの選択が世界初。(先行技術調査およびMintel社データベースを用いた伊勢半調べ 2025年10月)
限られた時間の中で挑んだ、“完成形”への試行錯誤
本商品の開発において、最も困難だったのは使用感と耐久性のバランスを見極めることでした。みずみずしい使用感を優先すると崩れやすくなり、耐久性を高めれば仕上がりが重くなる。このジレンマに対して、開発チームは何度も試行錯誤を繰り返しました。
さらに大きな制約となったのが開発期間です。通常であれば半年以上かけて行う処方の骨組みをつくる工程を、短期間で決定しなければならない状況でした。そのため、細かな微調整を積み重ねるのではなく、大胆な方向転換を繰り返しながら精度を高めていく“凝縮型”の開発アプローチが採られました。
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色設計においても苦労は尽きませんでした。リキッドファンデーションは塗布直後と時間経過後で色が変化しやすいため、店頭での見え方と実際の仕上がりの差を最小限に抑える必要がありました。さらに近年のトレンドを踏まえ、従来よりも明るめの色設計に挑戦したことも難易度を高めた要因となりました。
さらに印象的だったのは、最終段階で実施した約100名のホームユーステストです。複数のサンプルの中で、自分たちの試作品がどのように評価されるのか、不安と期待が入り混じる中での検証でした。
結果は、非常にポジティブなものでした。特に「伸びの良さとカバー力の両立」「密着感の高さ」「朝メイクした美しさが持続される」といった点が高く評価され、良い手応えを得ることができました。
ブランドの次代を切り拓く、新たな一手
キスミー フェルムは発売から39年のロングセラーブランドであり、これまでも「紅筆リキッドルージュ」といった商品とともに、多くのお客様に支えられてきました。一方で、移り変わりの早い現在の化粧品市場では、時代に合わせて進化し続けることも求められています。
今回のセラムカバーリキッドファンデは、その転換点となる商品です。従来のユーザーに加え、30代を中心とした新たな層にも支持を広げていることからも、その手応えは明確です。
横田は「この商品をきっかけに、キスミー フェルムをより多くの方に知っていただきたい」と語ります。この意気込みは開発担当だけの想いではなく、営業や宣伝などチーム全員の思いです。こうした社員たちの想いが店頭での大型展開をはじめ、テレビCMやブランド公式ファンコミュニティ開設といった、力強いプロモーションにも表れています。
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2026年4月にLINEファンコミュニティがスタート
ここだけのオリジナルコンテンツでユーザーとコミュニケーションを図る
2026年6月19日からテレビCMを放映
歴史を受け継ぎながらも、時代のニーズに応える挑戦を続ける。それこそがキスミー フェルムの進化の原動力です。“完成形”という高い目標に挑んだ今回の開発は、単なる新商品誕生にとどまりません。ブランドの未来を切り拓く一歩として、さらなる展開への期待が高まっています。
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