熊本県八代市の5歳の男の子が、鹿児島県霧島市の温泉施設で行方不明になってから約1カ月。7月17日に遺体が発見され、7月26日に家族のみによる葬儀が執り行われた。父親は悲しみをこらえながらも、捜索に協力してくれた人々への感謝の言葉を口にした。
「3分ほど目を離した間に」——何が起きたのか
行方不明になったのは、熊本県在住の田中嶺臣ちゃん(5歳)。6月21日、霧島市隼人町嘉例川にある温泉施設「かれい川の湯」を家族で訪れていた際、両親が3分ほど目を離した間に姿が見えなくなった。

記者は、嶺臣ちゃんの家族が実際に利用した家族湯を訪ね、温泉から川までの道のりを確認した。施設の関係者によると、温泉から川まで約8メートルの距離があるとのことだったが、実際に現場を目の当たりにすると、その距離よりも近いように感じられた。
窓の下に「複数の段差」——川への経路が明らかに
現場を詳しく確認すると、窓の下には室外機が設置されており、5歳の子どもでも川まで降りることができそうな複数の段差が存在することが確認できた。


警察によると、見つかった遺体には死亡につながる大きな損傷は認められず、事件性をうかがわせる形跡もなかったという。こうした状況を踏まえ、警察は嶺臣ちゃんが窓から自分で外に出て川に落ちた可能性があるとみている。
「前に進んでいきたい」——父親が語った感謝と決意
7月26日、八代市内で家族のみによる葬儀が行われた。息子を失ったつらい思いを胸に抱えながらも、嶺臣ちゃんの父親は捜索にあたってくれた人々への感謝の言葉を述べた。
「嶺臣が見つかったのも皆さんの協力のおかげで見つかったと思う。この度はありがとうございました。何十年経っても嶺臣を忘れることはないので、それを胸に秘めて家族一丸となって前に進んでいきたい」

1か月以上にわたって地域の人々が力を合わせた捜索活動。その営みが、嶺臣ちゃんを家族のもとへ連れ帰ることにつながった。父親の言葉には、悲しみと感謝、そしてこれからを生きる静かな覚悟が込められていた。

