秋田県沿岸部を中心に津波や揺れによる大きな被害をもたらした1983年5月26日の日本海中部地震から43年。教訓を次世代に伝える「県民防災の日」に合わせ、いま改めて見直したいのが日頃の備えだ。重要なのは「コンパクトさ」と「いつも身近にあるもの」。専門家の視点から、自分にとって本当に必要な防災グッズの選び方を考える。
「まず逃げる」が最優先の防災意識
災害への備えとして真っ先に意識すべきは、防災グッズではなく“避難行動”だと専門家は指摘する。

秋田市の日本赤十字東北看護大学介護福祉短期大学部の及川真一さんは、「防災グッズを備える前に、一番優先すべきことは“迷わず逃げること”。逃げる先に持っていくものが防災グッズ」と強調する。
避難所へ行くのか、車中泊になるのかなど、状況によって必要なものは変わる。「どこで使うのか」を想定した備えが重要だ。
コンパクトさがカギ 防災グッズの基本
防災グッズを選ぶ上でのキーワードは「コンパクトさ」と「常に持ち歩けること」。及川さんは以下の5つのカテゴリーに分けて備えを考えるよう勧める。
◆バッテリー
スマートフォンは最も身近な防災ツールのひとつだ。
「電池がなくなってしまうと便利な防災グッズも使用できなくなる。コンパクトなモバイルバッテリーを一緒に備えておくこと」と話す。
◆ライト
停電時に欠かせないライトも、小型で携帯しやすいものが理想だ。
「首掛けタイプや、小さいがしっかり明るいものもある。鍵やベルトに付けるだけでも全然違う」と実用性を強調する。
◆携帯トイレ
災害時に深刻な問題となるトイレ。
「購入したら開けてみて、どんな場面で使うのか、何か足りないものはないか、プライバシーを守るものが必要ではないかを考えてほしい」と、事前確認の重要性を指摘する。
◆防寒グッズ
体温の低下を防ぐポンチョや寝袋、スリッパなども必須だ。雨風を防ぎ、安全に過ごすための準備が求められる。
◆水・食料
飲料水は備えの基本。できるだけ身軽に避難するために、500mlサイズのものを用意しておくと安心だ。
食料については、アルファ米や缶詰などが非常食の定番だが、「ちょっと握って飲むだけでエネルギーを補給できる“行動食”がおすすめ」と話す。避難所でも場所を選ばず摂取できる利点がある。
見落としがちな「自分に必要なもの」
防災対策で重要なのは、一般的な備えだけではない。自分自身にとって欠かせないものを意識することが求められる。
例えば及川さん自身にとっては「老眼鏡」。複数用意して、車やカバンに分散して備えているという。
支援物資では届きにくい個人的必需品こそ、災害時の生活を左右する。
災害はいつ、どこで起こるか分からない。外出先で被災する可能性もあるからこそ、「普段から身につけているもの」「すぐ手に取れるもの」を防災の視点で見直すことが大切だ。
及川さんは、「どこで使うのか、身近にあって体の一部になっているもの、これがないと困るものを改めて見直してほしい」と呼びかける。
備えは“自分仕様”で考える時代へ
多くの防災グッズがあふれる中で、本当に大切なのは「自分に合った備え」を考えることだ。
「逃げる」「持ち出す」「使う場所を想定する」。
この基本を押さえた上で、身軽で実用的な備えを整えることが、いざというときの安全につながる。
(秋田テレビ)
