
大雨や台風時、一見、大丈夫そうに見える冠水した道路でも、車にとっては命取りになるリスクが潜んでいる。JAFによる走行実験の結果をもとに、車が冠水した際の危険性や、もしもの時の正しい脱出方法、そして未然に防ぐための備えについて解説する。
冠水走行の限界はタイヤ半分

記録的な大雨に見舞われた「令和2年熊本豪雨」から6年が経過した。球磨川が氾濫するなどして各地で土砂災害や浸水被害が相次ぎ、死者67人、住宅の被害は7400棟以上と、甚大な被害が出た。
改めて求められるのが車の走行中の安全確保だ。特に冠水路での運転は、一歩間違えれば命に関わる事態を招く。
JAFが電気自動車、ハイブリッド車、ガソリン車が水深30センチの冠水した道路を時速30キロで走る実験を行った。

結果として、いずれの車両も走り切ることはできたものの、ボンネット内部への浸水だけでなく、ハイブリッド車はタイヤカバーが外れ、ガソリン車では運転席が浸水する被害が確認された。

さらにガソリン車で水深60センチの道路を時速40キロで走行したところ、大きな波しぶきを上げた直後にエンジンが停止し、後輪が浮き上がる事態となった。

JAFの担当者は、ハイブリッド車やガソリン車はエンジンに水が入ることで停止しやすく、電気自動車もモーター駆動のため走行は可能だが、電装系のトラブルが発生する危険があると指摘する。

JAF宮崎支部 三善博昭さん:
大体の目安として車のフロントバンパーの下あたり、もしくはタイヤの半分まで水が浸かっているような路面には侵入しないようにしてください。
冠水路に潜む見えない罠
冠水した道路の危険は、エンジンの停止だけにとどまらない。濁った水が路面を覆っているため、視覚的な判断が困難になるからだ。
JAF宮崎支部 三善博昭さん:
冠水路の中はもしかしたらマンホールが浮いてしまって穴が開いていたり、何かものが流れ着いてしまっている可能性もありますので、エンジンが止まってしまう以外にも、パンクしてしまったりスタックして止まってしまう可能性もあると思います。
一見すると浅そうに見える冠水路であっても、内部に潜む危険を過小評価してはならない。
脱出時は「ドア窓の角」を狙って
もし、冠水した道路で車が止まってドアが開かなくなった場合は、ヘッドレストや傘などで窓ガラスを割ることは難しい。

そのような場合は、専用の「脱出用ハンマー」が、最も有効な手段となる。

日本自動車連盟宮崎支部 三善博昭さん:
同乗者がいて、2人同時に出ようと思ったらフロントガラスを割りたい気持ちになると思いますが、フロントガラスはフィルムなどが入っていて割れません。割るとしたら、運転席や助手席のドアの窓、ミラーの方の三角になっているところのような「角」を狙うと非常に割れやすいです。
こうした緊急用具は、いざという時に運転席からすぐに取り出せる場所に備えておくことが、生存率を高める鍵となる。
走行ルートの事前確認を徹底
視界が悪化する大雨の中での運転では、昼間であってもヘッドライトを点灯させ、速度を落として十分な車間距離を保つことが大切だ。

そして何より、危険な場所に近づかないための事前準備が欠かせない。

JAFは、周囲より地盤が低い道路やアンダーパスなどの冠水しやすい場所を避けるよう助言している。自治体が配布するハザードマップを事前に確認し、冠水が予想される地形や道路を通らない代替ルートを把握しておくことが、命を守ることに直結する。大雨の中での運転は、万全の準備と冷静な判断が求められる。
(テレビ宮崎)
