様々な業種で人手不足が課題となる中、建設業界では“大工不足”が深刻化しています。こうした中、独自の人材育成で大きな成果を上げる住宅会社があります。
若手が働きやすい環境を整え、大工を自社で育成する岩手県奥州市の企業を取材しました。
木造住宅の建築や修理などを担う職人「大工」は、住宅を建てる際になくてはならない存在ですが、近年“大工不足”が深刻な問題となっています。
総務省が行った国勢調査の結果では、全国にいる大工の人数は2000年が約65万人だった一方、2020年には30万人以下と半減しています。
大工を志す若い世代が減り、高齢化が進んでいることが要因です。
こうした中、自社で大工の育成に取り組み大きな成果を上げている住宅会社があります。1992年創業、岩手県奥州市に本社を置く「リベスト」です。
リベスト 岩淵幸輝社長
「リベストは創業から34年目。当時から大工の減少と高齢化はこの業界として課題だった。大工の育成、新入社員の採用には力を入れなければと取り組みを始めた」
奥州市内の建設現場で作業にあたる3人の大工の一人、入社3年目の大工・三上大翔さんは、先輩から丁寧な指導を受けながら作業を進めます。
入社3年目 三上大翔さん
「先輩は優しくて、わかりやすく教えてくれる。入社するまでは厳しく指導されると思っていたが、働きやすい環境で仕事ができている」
「大工」の仕事は上下関係が厳しく、体力と忍耐力が求められるイメージが強く、リベストでも以前は入社した大工4人のうち3人が早々に退職したこともありました。
こうした状況を改善しようと、リベストでは10年前から独自のカリキュラムを作り人材育成に力を入れてきました。
未経験で入社した社員は入社から2年間、仕事の一環として週2日、職業訓練校に通い大工の基礎技術を学びます。
また社内には「職業訓練指導員」という資格を持つ大工が在籍し、現場で必要な技術を新人に直接指導しています。
リベスト工事部 立野信幸部長
「2~4年目と段階を踏んで、5、6年で一人前になるカリキュラムを作って取り組んでいる」
このほかにも、使用する道具の支給や完全個室の社員寮など、生活面までサポートすることで働きやすい環境づくりを進めてきました。
リベストでは現在、100人いる従業員のうち25人が正社員の大工として働いています。
入社5年目 田中愛華さん
「様々な配慮をしてもらい丸4年、かなり働きやすい環境だと思う」
入社8年目 高橋健太さん
「分からないことはすぐ誰にでも聞ける環境で、一番いいなと思うことを下の世代にも指導している」
しっかりとした育成の仕組みがあることで若手大工が順調に成長、ベテランの技術がしっかりと引き継がれ、会社全体の技術力の底上げにつながりました。
リベスト 岩淵幸輝社長
「学んだ技術を次世代に継承していく、そんな環境をもっと深めていきたい」
建設業界だけでなく、全ての業種で課題となる「人材育成」。
リベストの取り組みは、人手不足に悩む企業にとって問題解決のヒントになるかもしれません。