中東情勢を背景に、重油の高騰や供給不足が続き銭湯の経営を圧迫しています。中には営業時間を短縮し、休業日を増やす決断をしたところもあります。
43度と少し熱めのお湯が自慢の富山県砺波市庄川町の「柳湯」です。
シンボルは内湯の窓に飾られた北陸新幹線の大きな写真。地元の人を中心に毎日70人ほどが利用する銭湯です。しかし・・・。
*リポート
「銭湯の入口には、営業時間の短縮のお知らせ、そして、燃料不足による臨時休業の案内が貼られています」
*柳湯 金井史郎さん
「肝心な油がない。どうしようもならん。言葉にならん」
柳湯では去年の秋、利用者の減少や光熱費の高騰などに対応するため、営業時間を1時間短くしました。
そこに、4月、原油の仕入れ業者からこんな連絡がありました。
*柳湯 金井史郎さん
「「柳湯さん、月に4000リットルを使っておられますが、2000リットルにしてもらえないですか?」と、「半分にしてください」とえーと思ったよ」
*柳湯 金井史郎さん
「スタート、よし」
柳湯では、地下水を43度に温めるため重油炊きのボイラーは欠かせません。
重油の仕入れ値は、中東情勢が緊迫する前までは1リットルあたり105円ほどでしたが、情勢が悪化してからは1リットルあたり125円と2割ほど値上がりしました。ひと月あたりの燃料費は8万円ほどかさむ計算です。
*柳湯 金井史郎さん
「ボイラー屋呼んで、定期点検、熱交換器も掃除して、早く温度が上がるようにした。油がないもんだから」
柳湯ではボイラーを手入れするなどし、重油を無駄にしないよう工面してきましたが、今回、そもそもの仕入れが月の半分になると連絡を受け、休みを週1回から2回に増やしました。
*柳湯 金井史郎さん
「お風呂屋さんはやっぱり熱いお湯に入れるのが(銭湯の)お風呂なんですよ、温度まで下げて営業を続けるのはできません。だから休むしかない。油タンクとにらめっこしている。油代が1日1万円、電気代で1日1万円経費が2万円かかる。売り上げはお客さん70人。今(入浴料)500円だから、3万5000円ですよ。僕はもう本当に辞めたい」
公衆浴場の入浴料金は「物価統制令」に基づき県が一律に定めていて、銭湯が個別の判断で引き上げることはできません。
現在の料金は大人500円。燃料費や人件費の高騰を受け、去年3月に県内の銭湯一律で30円の値上げをしたばかりですが、中東情勢による価格の高騰分は転嫁できていません。
*柳湯 金井史郎さん
「市民の健康を守る公衆浴場、その公衆浴場を見捨てて良いのか。入浴料金をあげて欲しいのと燃料が安定して配給してもらえるようにしてほしい。なんとか(客が)『気持ちが良い』と帰ってもらえるように頑張る」
その中、27日には富山県内41の銭湯が加盟する組合の会合が開かれ、公衆浴場の値上げを県に要望するかを話し合いました。
組合員からは、「中東情勢の影響で燃料が1.5倍になった「スタッフの時給も上がっている」などと値上げに賛成する声があがった一方、「客の中には年金暮らしの人もいて負担になる」、「今の料金の500円は区切りが良く、値上げするとお釣りなどの管理に手間がかかる」などと反対の声もあがりました。
そして、組合に加盟する銭湯に先月行ったアンケート結果が共有され、「値上げが必要」は14件、「値上げは不要」が22件となり、今回の会合では県に値上げの要望はしないことで決まりました。
*値上げが必要 水橋温泉ごくらくの湯 佐藤将貴さん
「正直とても残念これからひっ迫していくと思うので、(国や県から)何かしらのサポートや補助を入浴料金が上がらないのであれば、やっていってもらいたい。」
*値上げは不要 マルトミ鉱泉 中野数雄さん
「(燃料に)油を使っていない銭湯もあるので、そういう銭湯は値上げに今までも(反対していた)問題があって、去年の3月に上げたばかり。500円以上ではなかなか他の大きい(スーパー銭湯などの)お風呂屋さんに近い金額になるので」
組合では引き続き県や国に緊急の支援を求めるほか、2~3カ月後に再び同様のアンケートを取り、値上げの要望を行うかを検討することにしています。
*県公衆浴場業生活衛生同業組合 中谷健太郎理事長
「普段使いの銭湯でありたいという思いが伝わってきた。余談が許さない状況ではある。(重油の供給の)目詰まりがこの先、7月8月に第二波がやってくると聞いている。(値上げの要望を)しばらく見送るのではなく、状況にあわせて皆さんの声を随時拾っていきたい」