長野県松本市の老舗ベーカリーで、70年以上親しまれている「やさいぱん」の名前が「コールスロール」に変更されました。この名前の変更には、地元出身のあの映画監督が関わっています。

■創業110年の老舗で愛されるパン

松本市にあるベーカリー「スイート」。

豊富な種類の総菜パンが人気で、市街地の縄手通りに本店があり、松本周辺で4店舗を展開しています。

創業は1913年。

110年以上の歴史を持つ老舗で、長い間、愛されてきたパンが―。

スタッフ:
「コールスロール、焼きあがりました」

こちらの「コールスロール」です。

■「やさいぱん」から改名

客:
「(パンは)栄養が偏っちゃうところが気になってたんですが、中に野菜が入っているので食べさせやすいのがいいところ」

(記者リポート)
「キャベツがしゃきしゃきです。生地の甘みとコールスローの酸味と塩気、バランスがとてもよくておいしいです」

ただ、このパンの名前は5月11日に変わったばかりです。

もともとの名前は「やさいぱん」でした。

客:
「えっ!と思ったけど(ポップに)やさいぱんと書いてあったので分かりました」

■「中身が分かりづらい」社長が決断

店側もまだ慣れず―。

スイート・渡邊匡太社長:
「言いにくいです(笑)。“コールスロール”言いにくいですね、でも慣れます」

名前の変更を決めたのは、4代目の渡邊社長です。

「やさいぱん」という名前で長年愛されてきた一方、「中身が分かりづらい」という声があったことが、決め手の一つだといいます。

スイート・渡邊匡太社長:
「新しいお客さまが手に取ろうとするときに、『やさいぱん』というと健康志向が強いというか、(野菜と聞いて)思い浮かぶ味のイメージが、今の『やさいぱん』とちょっと違うのではないかと。『コールスロール』の名前の方がイメージがわきやすい」

■70年変えずに作り続ける伝統の味

店は、初代店主がアメリカ・シアトルで開業し、1924年に故郷・松本に戻り、縄手通りに店を構えました。

「やさいぱん」ができたのは、戦後間もない1950年代とみられ、70年以上愛されている商品です。

中身はキャベツやハムをマヨネーズなどで味付けした、「コールスローサラダ」。

ただ水分が多いため、パンの形が崩れないようもなかの皮に乗せ、それをパン生地で包んで焼き上げます。

スイート・渡邊匡太社長:
「(味は)変えなかったですよね。『やさいぱん』に関してはずっと昔ながらのやり方でやっている。懐かしい味って言っていただく方が多いので」

■名付け親は「ゴジラ−1.0」山崎監督

並柳店では、1日200個ほど売り上げる人気のパン。

70年以上続く看板商品の名前を変えるのは大きな決断ですが、それを後押ししたのが―。

松本市出身で、映画「永遠の0」や「ゴジラ−1.0」などで知られる山崎貴監督です。

実は、山崎監督は渡邊社長の知り合いで、小さい頃から「やさいぱん」のファンだといいます。

3年ほど前、山崎監督との話の中で、「コールスロー」と、それを包む「ロールパン」を合わせた『コールスロール』という名前を、監督が発案。

■監督が描いたコールスロールくん

さらにPRキャラクターも必要と、その場でイラストを描き、出来上がったのが「コールスロールくん」です。

パンには、「コールスロールくん」の焼き印も押しています。

スイート・渡邊匡太社長:
「リピーターの方はたくさんいるけど、新規開拓ができているかというとそうではなかったというのがあるので、イメージチェンジはあるかなと。あれだけの監督がここまでいろいろ考えてくださって、キャラクターも描いてくださって、こんなことは(なかなか)ないので、それを最大限生かせれば」

■客の反応は?「えっ」「かわいい」

長年親しまれてきた「やさいぱん」の名称変更に、客は―。

客:
「キャラクターがかわいくて、人気が出るんじゃないかと思います」
「ちょっとスマートな感じになっていいんじゃないですか」
「一瞬、えっ!って思ったの、知らないで来て。私的には『やさいぱん』です(笑)」
「『やさいぱん』って言われても、練りこんであるのかな?って分からなかったので、中身が前よりも分かりやすくなったと思います」

戸惑った人もいますが、おおむね好意的に受け取ったようです。

■地域に根差した「B級グルメに」

店では、ポップや広告などで、新しい名前「コールスロール」の浸透を図るとともに、今後1年ほどは「旧・やさいぱん」の表記もするということです。

また山崎監督デザインの「コールスロールくん」の露出も、動画などを通じて増やしていくとしています。

スイート・渡邊匡太社長:
「『やさいぱん』が『コールスロール』に変わっても味はまったく同じ。作り方も同じです。地域に根ざした、B級グルメのようなものに育てていければと思うし、飛躍させていけたらうれしいし、地域の皆さんに召し上がっていただくことが一番幸せ」

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