全国的に課題となっている運転士不足、県内でもこれが原因で各交通機関の減便が相次いでいます。こうした中、熊本市に本社を置く熊本電鉄は運転士を確保し、5月、電車のダイヤをほぼ減便前に戻しました。熊本電鉄を取材すると、先駆的な人材獲得プロジェクトが展開されていました。そして外国人運転士の養成も目指していることが分かりました。
【5月11日朝・尾谷いずみ】
「御代志駅に電車がやってきました。これまで朝の通勤通学の時間帯は20分に1本の間隔でしたがきょうからは15分に1本の間隔で電車がやってきます」
熊本市と合志市を結ぶ熊本電鉄は、運転士の退職が相次ぎ定員9人に対し半分以下の4人にまで減少。やむなく去年2月大幅に運行本数を減らす減便ダイヤに踏み切りましたが5月11日、ほぼ減便前の本数へ戻すことができました。
これにより、平日の運行121本が151本へ30本の増便、土・日・祝日についても1日32本の増便となりました。
【5月11日・利用者】
「ありがたい」「ありがたい」「(車内が)混雑しなくなり座れる人が多くなると思う」
なぜ増便ができたのか、それは運転士が確保できたからです。
熊本電鉄では入社祝金や転居支援金などさまざまなメニューを用意、中でも注目されたのがこちら。
【熊本電鉄 執行役員鉄道事業部 中野育生部長】
「バスの募集で取り組んでいたのですが『平日限定運転士』という働き方で(鉄道でも)募集した」
熊本電鉄は、バスの運転士募集で好評だったという『正社員で平日限定運転士』をはじめ、『65歳まで正社員採用』『時短運転士』など柔軟な働き方を提示しました。
すると多くの手が上がり運転士は11人に。
去年2月の4人と比べると3倍近くに増え、結果増便を果たすことができました。
【河端祥朗運転士(61)】
「65歳まで正社員で雇っていただける、地元に家族をおいているので『平日限定運転士で採用してください』とお願いしました」
家族を京都に残し去年5月、熊本電鉄に運転士として入社した河端 祥朗さんです。
定年まで勤め上げた阪急電鉄では12年間ほど運転士として働きましたが役職が上がる中で最後の15年ほどは本社勤務が続きました。
【河端祥朗運転士(61)】
「もう一度運転してみたい。(熊本電鉄は)人が少ないという話を聞いたので、それなら運転免許を持っている私が何かお役に立てればと思って」
平日限定運転士の河端さんは土日には家族のもとへ帰って趣味のツーリングを楽しんだり熊本県内でお気に入りスポットを見つけたりしてリフレッシュ、平日は熊本電鉄で全力投球しています。
【河端祥朗運転士(61)】
「阪急電鉄と比べるとはるかに(利用者)少ない。でも地元の人をお運びしている『地元密着』。電車の運転自体が好きなので楽しい。仕事を楽しんでいる」
一方、鉄道部門よりも早く『正社員で平日限定運転士』などを打ち出していたバス部門は今どんな状況なのでしょうか。
【熊本電鉄 自動車事業本部長 徳丸 和行 取締役】
「おかげさまで何とか確保のメドがついてきている」
おととし4月、97人だった熊本電鉄のバス運転士は5月までに117人と20人増えていました。
【熊本電鉄 自動車事業本部長 徳丸 和行 取締役】
「昔のように『こうでなくてはいけない』ということではもう乗務員不足を解消できない。働く人が働きやすい環境をいかに整えていくかという所に立ち、取り組んできた」
柔軟に働き方の制度を見直し当時、全国初とされた『平日限定運転士』などを打ち出した熊本電鉄、バス運転士では若い志願者も増えているそうです。
【野見山輝也さん(20)】
「フルタイムの運転士だけじゃなくて週休2日だったり平日限定だったり選べるところもすごく魅力的だと思い入社したというのもあります」
熊本市内の高校を卒業し去年4月に入社した野見山 輝也さんは5月、大型2種免許を取得、運転士を目指し教習中です。
熊本電鉄では現在の応募や教習の状況から8月ごろには必要な人員119人の確保が
見込めるとして来年春をめどにバスの増便も計画しているということです。
【ゾー・ナイン・リンさん(24)】
「思いやりをもってお客様を安全に乗せて安心して運転したいと思います」
ミャンマー出身のゾー・ナイン・リンさんです。
熊本電鉄は国の特定技能制度を活用し5月ゾーさんを採用、初めて外国人運転士の育成に乗り出しています。
【ゾー・ナイン・リンさん(24)】
「八久保、武蔵ケ丘北口、武蔵ケ丘小学校前」
今はバス停の名前を覚えたり社内研修を積んでいるゾーさん。
6月には大型2種免許取得のため徳島県の自動車学校へ入校、その後熊本での教習を経て来年の運転士デビューを目指しています。
運転士獲得へ、新たな風が吹き始めています。