中東情勢の影響により原油由来のナフサの供給不安が続き、身近な日常生活にも影響を及ぼしている。現場を取材した。

仕入れ値も1~3割ほどの値上げ

福岡市東区のスーパー『エムズ美和台店』。混迷する中東情勢の影響で、石油から精製されるナフサを原料とするさまざまな商品の値段が高騰している。

スーパー『エムズ美和台店』(福岡市東区)
スーパー『エムズ美和台店』(福岡市東区)
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5月に入って、総菜の包装などに使うラップや購入後に客が使うビニール袋などの仕入れ値も1~3割ほどの値上げとなっている。

久松浩一店長も「仕入れの段階で値上げしたのがラップ、シール関係、ゴム手袋とかビニール袋関係の値上げが、今月から始まりました」と頭を悩ませている。

このスーパーでは、商品の価格は上げず何とか乗り切っていたが、さらに追い打ちをかける知らせが入った。食品用トレーの値上げだ。

「またか」っていう感じですね…

大手食品容器メーカーの『エフピコ』は、2026年6月から全ての製品の価格を20%以上引き上げると発表。

ほかにも『中央化学』が30%以上、『シーピー化成』が25%以上の値上げを決めるなど業界全体で価格改定の動きが広がっている。

このスーパーでも肉や魚、野菜や総菜など店内で加工するものの多くにこれらのメーカーのトレーを使用している。

久松店長は、何とか販売価格を抑えたいと考えているが、今後は、値段は変えず、商品の内容量を減らすなど対策を取る可能性があるという。

この状況に訪れた買い物客は「仕方ないと思う。トレーを使っていないのがあれば、それを買うかもしれない」と話す。

「『またか』っていう感じですね。お客さまにあんまり損がないように、お買い得感を出せるような商品作りをやっていきたい」(『エムズ美和台店』久松浩一店長)。消費の現場の苦労はいつ終わるのか…。

ライフラインにも影響が…

一方、全国で問題となっている水道管の老朽化による漏水事故。ナフサ不足の影響は、こんなところにも出ていた。

福岡・飯塚市では、2026年度、劣化した水道管の更新工事を15カ所予定していて、うち2カ所について2026年4月に指名業者に対して入札の通知を行った。

しかし飯塚市上水道課の永末良一・課長は「材料が入りにくいという声も聞こえておりましたし、なかなか金額的には折り合わないという…」と表情を曇らす。

水道管として用いるポリエチレン管は、ナフサを原料に製造されていて、飯塚市が2025年度の単価を元に設定した予算では、採算が取れないと複数の業者から声が挙がったというのだ。

予算内に収まるよう計画を練り直す

水道用のポリエチレン管を製造する積水化学工業は物価高を受け、2026年4月、15%以上の値上げを行った。

その後、ナフサなどに由来する原料価格の急騰で、5月7日の出荷分から、更に20%以上の値上げを実施。6月にも10%の値上げを予定している。

永末課長は、その後の入札について「業者から、そういう声が上がっていたもので、本市のなかで検討した結果、入札を中止することといたしました。危機感はかなり感じておりますので、早急に更新工事を進められるように検討していきたい」と話す。

飯塚市でも5年前、老朽化が原因で水道管に穴が空き漏水事故が発生している。担当者によるとナフサが不足している現在の状況が続いた場合、交換する水道管の距離を短くするなど、予算内に収まるよう計画を練り直すという。

「ナフサ不足で、ポリエチレン管もそうですけど、その他に使う小さな資材、塗料などにも影響があっているので、かなり驚いているような状況です」(飯塚市上水道課 永末良一・課長)。

中東からの原油輸入量 前年比67%減

そしてナフサ不足による家計への具体的な影響もはっきりしてきた。野村総研の試算によるとナフサ由来の製品の値上げで4人家族の家計の負担は、年間で2万2500円から3万5100円、増えるという。

これは4月時点の値上げを考慮した試算なので5月に入っても“ナフサ値上げ”が、相次ぐ状況を踏まえると更に家計の負担が増える可能性もある。

更に、財務省の発表によるホルムズ海峡の封鎖を受けて、4月の中東からの原油の輸入量は前年と比べて67%、減ったことも判明した。輸入量としては1979年以降、過去最低になったということだ。

(テレビ西日本)

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