不足から一転、“コメ余り”が懸念されている。販売、そして生産の現場の今を取材した。

2000円近く価格がなぜ下がった?

福岡市早良区のドラッグストア『コスモス』。店内ではコメも販売しているが、価格に変化が起きている。ずらりと国産米が並んでいるが、殆どが4000円を切っているのだ。

この記事の画像(14枚)

国内産のコメの価格は、いずれも5キロ税込みで『夢つくし』が3698円、『ひのひかり』が3498円と3500円前後となっていて、2026年1月と比べると1~2割、安くなっているという。

『コスモス薬品』店舗営業部の垣岩寿明さんによると「1月に比べると仕入れ値が下がってきているので、それに合わせて販売価格を下げて提供しています」という。

2025年は5000円を超える時期もあったということだが、2000円近く値段が下がったのはなぜなのか?

垣岩さんは「コメの卸の方が、令和7年産のコメの在庫消化を急いでいると聞いていて、その関係で仕入れ値も安くなってきていると聞いている」

「売れ行きは価格が下がってきて、右肩上がりで、2月と比べ1.5倍前後ぐらいで伸びてきている」と話す。

コメの消費量 2018年度以来の低水準

農林水産省によると3月末時点でコメの民間在庫量は277万トン。前年の同じ月を97万トン上回っていて、近年では最も多い水準となっている。

店内で聞くと「頑張って5000円ぐらいで買っていたけど、逆に3000円ぐらいになったから。すごく買いやすくて嬉しい」と話す買い物客や-。

「まだ高い。でもちょっと慣れてきて前は2000円以下のものを買っていたのに、この頃は3000円で安いと思う」と話す買い物客など、一様に価格には納得している様子だった。

手に取りやすくなったとはいえ、数年前と比べると高いと感じるコメ価格。1人1カ月あたりのコメの消費量は、2025年度は平均4435グラムで、2018年度以来の低水準となり、前の年よりも約6%減少した。

これは普通サイズの茶碗4.4杯分に相当し、コメの高騰が続くなか、パンやパスタなどに切り替えコメ離れが進んだとみられている。

“値下がり”に“コメ離れ”という状況を生産者はどう受け止めているのか。

新しい農家のかたちを追い求めて…

福岡・行橋市でコメを生産する『ちいさな農家・米貴』の山本貴絵さん。6月に始める田植えに向けて忙しく準備を進めている。しかし「需要と供給のバランスなので、確実にお米の値段は下がると思います」と不安も感じている。

依然、先行きが不透明な中東情勢などの影響もあり、生産に欠かせない燃料や肥料など農業資材の高騰も顕著だ。厳しい状況のなかでも山本さんは、これまでと変わらず、品質に拘った米作りをしていきたいと話す。

「価格と食文化の問題、どちらともきれいに合わさるところでいい金額になってくれたらいいかなと思います」(『ちいさな農家・米貴』山本貴絵さん)。

こうした中、山本さんはコメを使った商品の開発にも取り組んでいる。米を研いで炊くという手間を省いた商品で、そのまま食べられる『ゼロ秒ご飯』。サラダなどにふりかけて食べられるほか、お湯をかけるとおかゆのような食感になるという。

「お米の価格が不安定で、この先どうなるか分からないという農家もけっこう多いと思うので、新しいこともしていきながら新しい農家のかたちとして進めています」(『ちいさな農家・米貴』山本貴絵さん)。

米貴の『ゼロ秒ごはん』
米貴の『ゼロ秒ごはん』

国の農業政策によりコメを取り巻く環境が、僅か数年で激変するなか、生産者も変化を求められている。

(テレビ西日本)

テレビ西日本
テレビ西日本

山口・福岡の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。