俳優・声優として第一線を走り続ける戸田恵子さんが、2026年夏に一人舞台『虹のかけら~もうひとりのジュディ』を全国14都市で開催する。
このうち鳥取市でも7月20日に上演される。実はこの鳥取での公演は、戸田さん自身がプロデューサーに強く申し出て実現させた「特別な一夜」だ。「鳥取でやることに意義があると思っている」——その言葉の背景には、山陰への深い愛着と、長年果たせなかった「仕事での再会」への想いがあった。
ドラマ・映画・舞台・声優……マルチな活躍を続ける戸田恵子さん
戸田恵子さんは、俳優としてドラマ、映画、舞台と幅広いジャンルで活躍する一方、アニメ「アンパンマン」や「ゲゲゲの鬼太郎」といった人気作品の声を長年担当し、声優としても広く親しまれてきた。世代を超えて愛されるその存在感は、日本のエンターテインメント界において唯一無二といっていい。
松江市のTSKさんいん中央テレビ本社を訪れた戸田さんは、この夏の全国ツアーへの意気込みとともに、鳥取公演に込めた特別な思いを語ってくれた。
「カテゴリーはどこにもはまらないジャンル」——一人舞台の全貌
今回上演される『虹のかけら~もうひとりのジュディ』は、2018年、戸田さんの「還暦」記念として初めて幕を開けた一人舞台だ。2026年の全国ツアーは2年ぶりの開催となり、東京など全国14都市を回る。
作品の演出・構成を手がけるのは、脚本家の三谷幸喜さん。戸田さんと数々の現場をともにしてきた「コメディの鬼才」が、戸田さんのために書き下ろした作品だ。
戸田さんは作品の魅力をこう語る。
「登場人物は私だけ、一人ミュージカルといいますか、エンターテインメントショー、見どころは全部です。ファンの皆さんに楽しんでもらおうという形で、戸田恵子色満載で三谷さんに作っていただいた。カテゴリーはどこにもはまらないジャンルになると思います」
一人芝居でありながら、生演奏をバックに歌い上げ、情感たっぷりの芝居とユーモアが溶け合うステージ。戸田さんのマルチな才能が惜しみなく詰め込まれた舞台だ。
「もうひとりのジュディ」が紐解く、波乱の人生
戸田さんが演じるのは、「ジュディ・シルバーマン」。ミュージカル映画の名作「オズの魔法使」の主役に抜擢され、一躍スターとなった俳優・ジュディ・ガーランドの付き人であり、専属の代役でもあった人物だ。彼女の日記を紐解きながら、同じ「ジュディ」への愛憎、そしてジュディ・ガーランドの数奇な人生がたどられていく。
三谷さんとのコンビについて、戸田さんはこう話す。
「コメディが得意な劇作家でありますから、時にキュンすることもありますが、私もコメディエンヌとしてこの作品を捉えていますので、ほとんど楽しんで笑っていただける」
笑いの中にほろりとする瞬間があり、その緩急こそがこの舞台の醍醐味だ。三谷さんの演出と戸田さんの表現力が掛け合わさり、唯一無二のステージが生まれる。
「ライフワーク」——感謝と恩返しの舞台
2018年の初演から数えると、この作品は戸田さんにとって長年にわたって育ててきた「ライフワーク」とも言える存在になっている。
「皆さんに恩返し、感謝の気持ちで私のできることは全部見ていただきたいという気持ちでやらせていただいたもの。こんなに長くやるとは思ってなくて、やりたくてもできないものもある。そんな中で、こんなに長くできるというのは、ありがたいと思っております」
その言葉には、華やかなキャリアの背後にある謙虚さと、観客への深い感謝がにじむ。長く続けられることへの喜びと、それを支えてきた観客へのリスペクト——戸田さんにとってこの舞台は、単なる演目ではなく、自分を育ててくれた全ての人への「ありがとう」を形にしたものなのだ。
「鳥取でやりたい」——たっての希望で実現した山陰初公演
今回のツアーで特に注目すべきは、7年ぶりとなる全国ツアーでの鳥取公演だ。山陰地方での『虹のかけら』上演は今回が初めてとなる。
そしてこの鳥取公演は、戸田さん自身がプロデューサーに申し出て実現させたものだという。
「鳥取でやることに意義があると思っているんですよね。山陰とは本当にチャンスがなかった、是非今回やるならば、鳥取でやりたいとプロデューサーに申し出て、成立しました。なので鳥取公演には思い入れがあります」
実はプライベートでは、鳥取県にいる知人のもとをたびたび訪れてきた戸田さん。しかし仕事では山陰とのご縁がほとんどなかったという。
さらにこんなエピソードも明かしてくれた。
「私、ゲゲゲの鬼太郎もやってますから、水木先生のところにも来てます。なのに芝居では来てないという、だから今回は本当に良かったなと思っています」
声優として長年「鬼太郎」に関わり、境港の水木しげる記念館にも訪れていながら、舞台としての山陰入りはなかった。その"空白"を埋める今回の鳥取公演は、戸田さんにとって格別の意味を持つ。
「大きくなる薬を飲んで」——鳥取の観客へのメッセージ
鳥取市での公演会場は、とりぎん文化会館梨花ホール。大きなホールでの一人舞台に、戸田さんらしいユーモアを交えてこう語った。
「とりぎん文化会館梨花ホールというところで、とても大きいホールなんですよね。私、出番前に“ちょっと大きくなる薬”を飲みますので、後ろの方の方にもちゃんと見ていただけるように頑張ります。鳥取の皆さんに是非とも私のステージを楽しんでいただけたらと思います。たくさんの皆様お誘いあわせの上、来ていただければ嬉しいです。お待ちしております」
ユーモアの中にも、観客全員に届けたいという誠実な思いがあふれるメッセージだ。
(TSKさんいん中央テレビ)
