「安心して食事を」 アレルギー対応料理で広がる可能性

アレルギーを引き起こす特定原材料8品目とすべてのナッツ類を使わない料理15品が、東京の老舗ホテルの一室に並んだ。

料理を考案した島根・松江市の料理研究家・上田まり子さんは「食べることって平等で楽しむ、おいしく楽しく、みんなが癒される場所であってほしい」と語る。
誰もが安心して食事を楽しめる社会を目指す、その第一歩となるイベントが3月27日に開かれた。

「食べられない」をなくす食卓 帝国ホテルで念願のイベント

3月27日、東京・帝国ホテルで開かれた『フードバリアフリーブッフェ』。
卵、小麦、そばなどアレルギーを引き起こす特定原材料8品目と、すべてのナッツ類を使わない料理が調理ブッフェ形式で提供された。

魚や肉を使った料理など全15品が並び、デザートのケーキやタルトの生地には米粉が使用された。
食物アレルギーを持つ人々が「食べられないもの」を探す必要のないテーブル、それがこのブッフェのコンセプトだ。

テーブルに並ぶ料理とデザート
テーブルに並ぶ料理とデザート
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『安心して食べてほしい』…研究のきっかけは子供の食物アレルギー

料理を考案したのは、松江市の料理研究家でFood Marico社長の上田まり子さん。
自身もアレルギーに悩み、3人の子どもたちも食物アレルギーを持つことから、20年以上にわたってアレルギー対応食の研究・開発に取り組んできた。

そうした積み重ねの先に今回のイベントがある。
目指すのは、アレルギーや宗教的な背景による「食のバリア(障壁)」を取り除き、多くの人が安心して食卓を囲める社会の実現だ。

上田さんは「そういう風に展開できると非常にうれしいなと思っている」と話した。

東京・帝国ホテルで開かれた『フードバリアフリーブッフェ』の様子
東京・帝国ホテルで開かれた『フードバリアフリーブッフェ』の様子

大阪・関西万博をきっかけに 老舗ホテルが共鳴した“食の思い”

会場となった帝国ホテル東京は、日本を代表する老舗ホテルだ。
今回のブッフェは、同ホテルで初めてアレルギー対応食に特化した形式で開催されたものとなった。

実現のきっかけは、2025年に開催された大阪・関西万博のイベントだった。
そこで知り合った帝国ホテル東京の杉本雄総料理長が上田さんの趣旨に賛同し、今回の開催につながった。

杉本総料理長は「今後何か変われる第一歩になるとすると、こういう体格の大きいホテルでこういうことができたということが料理界もホテル業界もそうですし、少なからずいい影響を与える一助になれば」と語った。
規模と知名度を持つホテルが動くことで、業界全体への波及効果を見据えた発言だ。

帝国ホテル東京・杉本雄総料理長
帝国ホテル東京・杉本雄総料理長

料理だけじゃない食のバリアフリー 展示や試飲で広がる“誰もが楽しめる食”を

会場ではブッフェの料理提供にとどまらず、協賛企業を紹介するパネル展示も行われた。
また、ビーガン向けに開発された植物由来のかつお風味だしの試飲コーナーも設けられ、食のバリアフリーをさまざまな角度から体感できる場となった。

『フードバリアフリーブッフェ』の展示コーナー
『フードバリアフリーブッフェ』の展示コーナー

松江発のメッセージ 広がる「食のバリアフリー」の輪

松江市で20年以上にわたり積み重ねてきた研究が、東京の一流ホテルという舞台で形になった今回のイベント。
上田さんはこうした取り組みを通じて、食のバリアをなくす輪をさらに広げていきたいと話している。

「食べることは平等」というメッセージは、アレルギーを持つ人やその家族だけでなく、宗教・文化的な食の制約を持つすべての人に向けられている。
帝国ホテルという象徴的な場所での開催は、その輪が確実に大きくなりつつあることを示す出来事といえるだろう。

東京・帝国ホテルで開かれた『フードバリアフリーブッフェ』の様子
東京・帝国ホテルで開かれた『フードバリアフリーブッフェ』の様子
TSKさんいん中央テレビ
TSKさんいん中央テレビ

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