岡山県は2026年度から県出身の男子学生が住む東京の学生寮を女子専用の寮に改修する事業に取り掛かります。女子学生の支援が大きな目的ですが、そこにはもう一つ、別の狙いがあります。
(萩原渉キャスター)
「東京都港区高輪の閑静な住宅街に建つ岡山県育英会東京寮。建設から半世紀以上が経ち、外観だけ見ても老朽化の進行がよく分かる」
首都圏の大学などに通う県出身男子学生のための寮、岡山県育英会東京寮。格安の費用で利用でき、これまでに約1900人が共同生活を通じて絆を深め、巣立っていきました。
しかし、最近では人気ドラマで「廃墟」のロケ地に選ばれるほど建物が傷んでいます。
そこで県はこの寮を女子学生専用の寮として生まれ変わらせることにし、26年度の当初予算に9234万円を計上しました。
都内には県出身学生のための寮が4つありますが、全てが男子寮で、女子寮はなかったからです。
しかし、目的は女子学生の支援だけではありません。そこには別の狙いもあります。
(岡山県生涯学習課 宮森久彰課長)
「1カ所に岡山県出身の女性が集まるメリットを生かし、就職関係事業(県内企業の説明会など)を効果的に投入したり、隣接する県職員公舎や他の県人寮との交流の場をつくって、大学卒業後すぐでなくても、将来的に「岡山に帰りたい」という思いを持ってもらうことによって還流(Uターン)につながることを期待」
15歳から29歳の女性で岡山県に入ってきた人の数から県外に出て行った人の数を引いたグラフです。若い女性の人口が減り続けています。
この流れを少しでも食い止めるため、首都圏に出て行った女性の還流(Uターン)を促そうというわけです。
他の県の場合はどうでしょうか?
2023年度に男女共用の寮としてリニューアルしたのが佐賀県の寮です。26年度は20人の女子学生が利用しています。
(寮生は…)
「佐賀の仲間がいると心強いと思って入寮を決めた。上級生もすごく優しくて居心地がいい」
「風呂が一人一人ユニットバスでそれが一番良かった。勉強はもちろん、いろんな人との交流を楽しみたい」
佐賀県の寮でも県内企業の紹介など地元へのUターンを促す取り組みを行っています。担当者は寮生を長い目で見守り、故郷とのつながりを保ち続けること自体が重要だと指摘します。
(佐賀育英会松濤学舎 下村昌弘常務理事)
「故郷をいったん振り切って前に進んでいる学生に後ろを向け、故郷を見なさいというのは少し違うと思う。全国で活躍したい、世界に羽ばたきたいという学生も必要。この寮で過ごすことで故郷への愛情は失わずに世界に羽ばたいていき、ゆくゆくは何らかの形で貢献してくれるのではないかと思っている」
岡山県育英会東京寮は早ければ2028年度にも女子寮に生まれ変わる予定です。故郷から遠く離れた都会で様々な経験を積みながら故郷のことをさらに好きになる、そんな役割が期待されています。
東京大学のグループが2024年に行った調査では首都圏に県人寮を設置している35の道府県の約半数が男子学生専用の寮しか設置していなかったそうです。金銭面のハードルで首都圏大学への進学を諦めた女性も一定数いるということで、今後、多くの女性に有効活用してもらえればと思います。