福井・坂井市三国町に2026年4月20日、新たにオープンした一軒のゲストハウスがある。その名は「レトロマチカ」。一歩足を踏み入れると、年季の入ったテレビや黒電話が置かれ、まるで時が昭和で止まったかのような空間が広がる。一人の若き女性の思いが詰まった宿を取材した。
地元、三国に人が集まる拠点を―
空き家を活用して生まれた、その名の通りレトロな雰囲気が魅力のゲストハウス「レトロマチカ」。

オーナーは、隣町出身の縣若葉さん、26歳。大学時代にはまちづくりを学ぶため、日本全国を旅して回った。海外にも足を運び、そのほとんどでゲストハウスを利用した経験が、彼女の夢の原点となった。
「自分の地元にもゲストハウスを作りたいなと思って」と縣さんは語る。
大学卒業後、一度は県内で就職したものの、夢を実現するために一念発起。築約50年の2階建ての空き家を約200万円で購入した。
「元々あったものを大事に使っていきたい」
縣さんがまず、着手したのは建物の改修。宿の運営経験もなく、すべてが手探り状態からのスタートだった。
しかし、市の補助制度などを活用しながら約8カ月をかけて自らの手で改修した。
「これは50年前の換気扇で」そう縣さんが見せてくれたのは、今ではほとんど見ることのない古い換気扇。紐を引くと「ゴォー」という大きな音を立てて動き出す。「音がすっごいするんですよ」と笑いながらも、「元々あったものをこう大事に使っていきたいなっていう思いもあったので」と、その表情には古き良き物への愛着がにじむ。
ゲストハウスの魅力の一つが、安価で泊まれること。改修費をできるだけ抑えながら、元々の建物の特徴を生かすようにした。その結果、どこか懐かしいレトロ感あふれる宿が完成した。
「一番は、なるべくお金をかけないようにして小さく始めたかったので、自分でセルフリフォームしたのだけど、やりがいもあったし愛着も湧きました」
目指すは「また戻ってきたい」と思ってもらえる場所
客室は全部で3室という小規模な宿だ。それでも、この場所が三国湊エリアの地域振興や観光につながってほしいという強い思いが込められている。
「三国にまた戻ってきたいなと思ってもらえるような拠点にしたいな」と縣さんは展望を語る。宿泊料金は1人1泊4000円からと、1人旅でも気軽に利用できる価格に設定した。

近年、三国では古民家の一棟貸しといった宿泊施設も増えており、ゆっくりと滞在する楽しみ方が広がりを見せている。「レトロマチカ」にはすでにゴールデンウィークの予約も入っているといい、新たな人の流れを生み出す拠点となりそうだ。
