香川県琴平町にある現存する日本最古の芝居小屋、「旧金毘羅大芝居」通称、「金丸座」で、恒例の「四国こんぴら歌舞伎大芝居」が上演されています。豪華俳優陣が出演する歌舞伎の魅力や舞台にかける思いなどを取材しました。
◆恒例の「お練り」には歌舞伎ファンら約2万2000人が集まった
4月9日、香川県琴平町。「四国こんぴら歌舞伎大芝居」恒例のお練りが行われました。人気俳優が人力車に乗って町を回ります。
(中村雀右衛門さん)
「4年に1度くらい来ているので、オリンピックではないが金メダルを取れるような舞台を勤めたい」
(尾上松緑さん)
「金丸座は好きな劇場なので、今度は9年空けずに次回はすぐに呼んでもらえるように勤めたい」
今回がこんぴら歌舞伎初出演の坂東巳之助さんはお練りも初体験です。
(坂東巳之助さん)
「まちの皆さんに巳之助の名前と顔を覚えてもらえるように精一杯頑張りたい」
沿道に集まった歌舞伎ファンらは、約2万2000人。お目当ての俳優に声援を送ったり、写真を撮ったりとふれあいを楽しみました。
(訪れた人は…)
「幸せでした」
「春が来たな。特に琴平町の大イベントなのでとても楽しみにしている」
◆「金丸座」での舞台稽古を経験した坂東亀蔵さん「演者もタイムスリップした気持ちで芝居ができる」
こんぴら歌舞伎の舞台となるのは現存する日本最古の芝居小屋「金丸座」。初日を前にこの日は、舞台稽古が行われました。
実際の衣装に身を包んだ本番さながらの稽古。舞台の大きさや演技のタイミングなどを確かめながら、芝居を作り上げていきます。
(坂東亀蔵さん)
「江戸時代にタイムスリップした気持ちになるという人もいるが、演者もタイムスリップした気持ちで芝居ができるので、とても貴重な経験をさせてもらっていると気が引き締まる思い」
◆待望の初日…江戸時代さながらの舞台の幕が開く 映画「国宝」に登場した「鷺娘」では坂東新悟さんが妖艶な舞を披露
そして迎えた初日。金丸座では大勢の歌舞伎ファンらが開場を待ちわびていました。
開幕を告げる花火の音とともに、観客は、小さな「ねずみ木戸」をくぐって入場します。740席が瞬く間に埋まり江戸時代さながらの舞台が幕をあけます。
今回のこんぴら歌舞伎は、尾上松緑さん、中村雀右衛門さんら豪華俳優が顔をそろえ、一部と2部合わせて4つの演目が上演されます。中でも、日本アカデミー賞で作品賞などを受賞した映画「国宝」に登場した「鷺娘」は、ファンが最も注目する演目で、坂東新悟さんが妖艶な舞を披露します。
(坂東新悟さん)
「今回は金丸座ということでなるべく古風に楽しんでもらえるような演出を考えているので、本当にエンターテインメントというか歌舞伎の魅力を存分に楽しんでもらいたい」
◆金丸座の舞台装置「セリ」は人力で操作! 琴平町商工会青年部員も支えた“大舞台”
この演目では金丸座の舞台装置、「セリ」が使われます。俳優が、舞台の下から舞台上に登場するための昇降装置で、人の力で動かします。操作を手伝うのは、地元、琴平町商工会青年部のメンバーです。
(琴平町商工会青年部の部員)
「両方がタイミングを合わせて上げないとうまく上がらない感じ」
(坂東新悟さん)
「初めて人力の「セリ」を体験したが本当にすごいなというか、昔の人の知恵も素晴らしいし、いろいろな人の支えで舞台が成り立っているということを身をもって実感できる」
◆客席の上から舞い落ちる雪…息づかい聞こえる舞台に観客は「素敵だった。泣いてしまった」
劇中、客席の上から舞い落ちる雪。天井に「ブドウ棚」と呼ばれる舞台装置がある金丸座ならではの演出です。
(観客は…)
「狭さと息づかいが全部聞こえるので“生”という感じ」
「素敵だった。泣いてしまった。素晴らしかった。本当に泣いてしまった」
様々な人たちの手によって作り上げられる舞台。江戸時代の芝居小屋でしか味わえないこの一体感こそがこんぴら歌舞伎が多くの人に愛されて続けている理由なのかもしれません。
四国こんぴら歌舞伎大芝居は4月26日まで上演されています。