嘱託警察犬・イトくんが火山灰を克服 足跡追及で遺留品発見

鹿児島市の桜島グラウンドで4月21日、民間の警察犬「嘱託警察犬」の技術向上を目的とした競技会が開かれた。6人の指導手と9頭の嘱託警察犬が集結し、足跡追及や捜索救助といった実践的な競技に挑んだ。火山灰が舞う桜島ならではの過酷なコンディションの中、ベテラン犬もルーキー犬も全力でその能力を発揮した。

「嘱託警察犬」とは何か

嘱託警察犬とは、県警から嘱託された民間の警察犬のことだ。警察が直接飼育・訓練する警察犬とは異なり、民間の指導手がトレーニングを積み重ね、県警の審査をパスして初めて「嘱託」の称号を得ることができる。今回の競技会は、そうした嘱託警察犬たちのさらなる技術向上を目指して開催されたものだ。

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火山灰の匂いに惑わされず──ベテラン「イトくん」の足跡追及

最初の競技は「足跡追及」。犯人の足跡を辿り、遺留品に見立てたキーホルダーなどを見つけるという内容だ。挑戦したのは3歳のイトくん。担当する岩元勇一さんは指導手歴約15年のベテランで、「優しい」とイトくんの性格を表現する。

桜島では競技当日も灰が降っており、岩元さんは「灰が降っていたから、そこがやはり難しい」と振り返った。それでもイトくんはクンクンと地面の匂いを嗅ぎながら着実に前進し、火山灰の匂いにも惑わされることなく2つの遺留品を見事に発見してみせた。

「よくがんばった」と岩元さん。競技を終えたイトくんへのご褒美を尋ねると、「おやつとボール」という答えが返ってきた。日々の訓練を支えているのは、こうした犬と指導手の信頼関係だ。

来週2歳のルーキー「カムイくん」が初の競技会に挑む

続いて行われたのは「捜索救助」。山の中に隠れた2人の行方不明者役の警察官を見つけるという競技だ。こちらに挑んだのは、来週2歳の誕生日を迎えるカムイくん。2025年11月の審査会に合格したばかりの、まさにルーキーだ。

期待と緊張が入り交じる雰囲気の中でスタートの合図が告げられた。カムイくんは颯爽と走り出し、数分後には尻尾を振りながら笑顔で戻ってきた。

結果は1人の発見にとどまった。担当の指導手は「がんばった。80点かな。結局1人だった。もう1人、絞りきれなかった」と語りながらも、その表情は前向きだった。「高齢者の行方不明事案も多いので、この子が活躍できるところ、社会貢献ができれば」という言葉には、ルーキー犬への大きな期待が込められていた。

地域の安全を支える嘱託警察犬の存在感

2025年、県内における嘱託警察犬の出動件数は11件にのぼり、そのうち1件では行方不明者の発見に直接結びついた実績がある。高齢化が進む地域社会において、行方不明者の捜索は年々重要性を増している。嘱託警察犬はそうした現場で欠かせない存在として、着実にその役割を果たしている。

桜島という特殊な自然環境の中で磨かれた技術と、指導手との深い絆。イトくんのような経験豊富な犬も、カムイくんのような成長途上のルーキーも、それぞれが地域の安全のために力を尽くしている。今後もその活躍がますます期待される。

【動画で見る▶民間の警察犬の技術向上へ 桜島で競技会 足跡追及に捜索救助】

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