「バスの中ってベッドどうなるの?」——そんな好奇心を刺激する、ユニークな宿泊施設が鹿児島県錦江町に誕生した。国道269号沿いにある神川キャンプ場に、鮮やかな黄色の大型バスがど〜んと鎮座している。運転こそできないが、車窓から望む開聞岳と夕日の絶景は、わざわざ遠方から足を運ぶ価値が十分にある。

名古屋市営バスが、さんふらわあに乗って錦江町へ

2025年7月、神川キャンプ場にお目見えしたこの黄色いバスの正体は、かつて名古屋市営バスとして走っていた車両だ。

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きっかけは、神川キャンプ場の指定管理者である錦江町の松下工務店が「目玉となるもの」を模索していたこと。担当の東夏貴さんは当時をこう振り返る。

「雨の日でも利用できる施設ってなにかな?って考えたときにこの大型バスにたどり着いた。この辺は田舎で明かりが少ないので、少しでも皆さんの目につく明るいスポットをと」

オークションにかけられていた名古屋市営バスを落札し、2025年1月にフェリー「さんふらわあ」で名古屋から鹿児島へ輸送。その後、工務店スタッフが総掛かりで内装を整え、アメリカのスクールバスをイメージした黄色に塗り替えるなど、約4カ月をかけて宿泊施設へと生まれ変わらせた。

バーカウンター、運転席も完備。「そのまんまバス」な非日常空間

車内に一歩足を踏み入れると、まず目に飛び込んでくるのはバーカウンターだ。東さんは「前はビーチ、開聞岳を見ながらお食事をしてもいいし、お酒を楽しまれてもいい」と話す。窓の外に広がる薩摩半島の絶景をおかずに、一杯やるのも悪くない。

さらに車内を進むと——運転席がそのまま残されている。東さんいわく「一番子どもが喜ぶスポット」だそうで、実際に宿泊した子どももそのユニークさに大興奮だったようだ。宿泊経験のある原口心愛さんはこう語った。

「『バスの中ってベッドどうなるの?』って思った。ちゃんとバスのボタンとかもあったからめっちゃ楽しかった」

宿泊料金は1泊1万円で、最大6人まで利用できる(入場料別:大人500円/小中学生100円)。ファミリーやグループでのキャンプのアクセントとして、雨の日の避難所としても重宝しそうだ。

夕暮れ時、黄色いバスとオレンジの空が染まる

錦江町の神川地区は、美しい夕日で知られる場所でもある。夕方になると、オレンジ色に染まる空と黄色いバスのコントラストが見事に映え、天気が良ければ薩摩半島の開聞岳も望める絶景が広がる。国道269号沿いという目立つロケーションも相まって、通りかかったドライバーが思わず足を止めるほどの存在感だ。

「空港から2時間かかるけど、わざわざ泊まりに行きたい」

泊まりに訪れた客の中には、かつて名古屋市営バスの運転手だったという人物もいたという。縁のある車両が遠く鹿児島の地で第二の人生を歩んでいることを知り、足を運んだのだろうか——想像するだけで胸が熱くなるエピソードだ。

「空港から2時間かかるけどわざわざ泊まりに行きたい場所」として人気を呼んでいるとのことで、その魅力は地元にとどまらず広く伝わりつつある。

東さんは「佐多岬に行ったついでにここに泊まるのも良し、ここに泊まるのを目的に来るのも良し、いろんな方に利用してほしい」と話す。

子どもから大人まで楽しめる「泊まれるバス」の登場で、錦江町の神川キャンプ場に新たな魅力がひとつ加わった。

【動画で見る▶宿泊バスが鹿児島・錦江町に登場「開聞岳と夕日を独り占め」 1泊1万円で最大6名 】

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