鹿児島県阿久根市沖の海底から81年ぶりに引き揚げられた日本海軍の戦闘機「紫電改」。その翼の内部に、大量の未使用砲弾が残されていることが確認され、陸上自衛隊による回収作業が行われた。回収されたのは712発。引き揚げを実現させた保存団体の代表は「撃ち尽くしていると思っていた」と驚きを語った。
貝殻を取り除く作業中に発覚
4月8日、鹿児島県阿久根市沖の海底から引き揚げられた紫電改は、陸揚げされた出水市の工場に一時保管され、機体に付着した貝殻などを取り除く作業が進められていた。

その作業の過程で、翼に備え付けられた20ミリ機銃に未使用の弾が残されている可能性が浮上した。引き揚げを行った団体の申告を受け、4月15日午前、県警が立ち会いのもとで調査を実施。すると、翼の内部から大量の未使用砲弾が確認された。

砲弾は、大きな衝撃などが加わらない限り暴発するおそれは少ないとされているものの、火薬が使用されているものであるため、同日午後4時ごろから陸上自衛隊が対応にあたった。
「撃ち尽くしていると思っていた」
引き揚げを主導した「北薩の戦争遺産を後世に遺す会」の肥本英輔代表は、砲弾が残っていたことへの驚きをこう語った。
「空戦をやった後なので、撃ち尽くしていると思っていた。法に則って、国が処理するのを我々は見守るしかない」

81年という長い歳月を経て海底に眠り続けた機体が、今もなお「実弾」を抱えていたという事実は、改めてこの戦闘機が戦場から直接海へと沈んでいったことを物語っている。
712発を回収、今後は爆破処理へ
翌4月16日、出水市の工場で午前9時から陸上自衛隊による砲弾の回収作業が本格的に始まった。作業は約5時間にわたって続けられ、午後2時に終了。回収された砲弾は合計712発にのぼった。
回収されたこれらの砲弾は、今後爆破処理される予定だという。

戦争の記憶を「後世に遺す」ために
紫電改は、太平洋戦争末期に日本海軍が運用した戦闘機で、高い戦闘能力を持つとされた機体だ。阿久根市沖の海底に81年間沈んでいたこの機体を引き揚げたのは、「北薩の戦争遺産を後世に遺す会」。地域に残る戦争の記憶を次の世代へつなごうという活動の一環として、引き揚げプロジェクトが進められてきた。
砲弾の処理という予期せぬ課題を経て、紫電改の保存・展示に向けた作業は今後も続いていく見通しだ。81年前の空の記憶を伝えるこの機体が、地域の歴史遺産としてどのように後世へ受け継がれていくのか、引き続き注目される。
【動画で見る▶阿久根沖で引揚げの「紫電改」、翼に未使用砲弾多数 81年ぶりの発見で陸自が対応 】
【動画で見る▶紫電改 712発の砲弾を回収 陸上自衛隊が今後、爆破処理】
