住みごこちランキングで例年トップクラスに名を連ねる鹿児島県姶良市。その市政を担うリーダーを決める姶良市長選挙が、4月19日に投開票を迎える。現職3期目を目指す湯元敏浩氏(61)と、元県議会議員の米丸麻希子氏(50)による一騎打ちだ。2025年8月の豪雨災害、そして将来的な人口減少という2つの課題を前に、2人はそれぞれどんな姶良市の未来を描いているのか。
2期8年の実績か、新風か――真っ向からぶつかる2候補
元テレビ局社員という異色の経歴を持つ現職の湯元敏浩氏は、出陣式で支持者にこう訴えた。
「姶良市はものすごく元気だと思いませんか。この勢いを、このスピードを、この歩みを止めてはいけない」

2期8年で積み上げてきた実績と、国とのパイプを前面に打ち出し、市政継続を強く呼びかける姿勢は明確だ。
対する米丸麻希子氏は、元県議として地域の声を聞き続けてきた経験を武器に、初めての市長選に挑む。2024年の県知事選にも出馬した米丸氏の出陣式には幅広い年齢層の支持者が集まり、熱気に包まれた。
「働く世代も『姶良で働けてよかった』、シルバー世代も姶良で年をとることは『パラダイスだ』と言える姶良市にしたい」

争点のひとつは防災――2025年8月豪雨が残した爪痕
今回の選挙で争点となっているのが、防災対策だ。2025年8月の豪雨では土砂崩れによる死者が1人、床上・床下浸水が595件、そして1万8000戸で断水が発生。河川や道路の損壊は広い範囲に及び、今も復旧工事が続いている。
市民からは「去年の大雨で水道が何日間か断水したが、水道管が壊れないようにしてほしい」という切実な声が上がる。
湯元氏はこの8年間で築いた国とのパイプを武器に挙げる。「災害に素早く対応でき、復旧・復興にスムーズに臨めている」と強調しつつ、今後の具体策として洪水対策の推進を掲げる。「用水路を排水路にしなきゃならない作業は非常に時間もお金もかかる。防災のためにやっていく」と力を込めた。

一方の米丸氏は、災害時に「自分には何の立場もなく、ボランティアをしたがほんのちょっとしか助けることができなかった」という悔しさを原点に、市役所だけに頼らない防災の仕組みづくりを提案する。「地域の皆さんの絆をしっかり連絡などをとれる体制をつくっていきたい。ハザードマップなど、デジタルの力を使って事前にお知らせできる仕組みをつくる」と訴える。

人口減少への先手――スポーツ観光か移住促進か
もう一つの課題が、将来的な人口減少だ。姶良市は2010年の合併以降、鹿児島市や霧島市のベッドタウンとして機能し、人口はほぼ横ばいを保ってきた。しかし、この状況が長く続くとは限らない。
湯元氏が先手として打ち出すのがスポーツ観光の推進だ。「大きな大会の誘致、合宿や自主トレ、トップアスリートの招へい。ついてくる関係者やマスコミ、ファンの方々を姶良市に呼び込む。毎年利用する交流人口増へ仕掛けていきたい」と構想を語る。
米丸氏が描くのは、姶良市で盛んな有機農業の魅力を生かした移住促進だ。「健康志向の方が多くいる。健康を求めて、暮らしの質を求めている方に移住してきてほしい」。さらに、「姶良市出身で東京、大阪、福岡へ出て行った方々が『姶良に帰ってきたい』と思える街にしたい」と、Uターンの促進も視野に入れる。
市民の関心は財政・高齢者支援にも
防災や人口問題だけでなく、市民の関心は多岐にわたる。「子育て支援も大事だが、今まで日本をつくってきた高齢者を大切に」「庁舎が加治木・姶良・蒲生の3カ所できた。財政はどうなるのか、それだけ考えている」といった声も聞かれ、姶良市が抱える課題の複雑さを映し出している。

2人の候補者が思い描く姶良市の未来像は、それぞれ異なるアプローチを示している。投票日は4月19日、即日開票される。
【動画で見る▶姶良市長選2026 現職と新人の一騎打ち 争点は防災と人口減少対策】
