中東情勢の緊迫化による原油価格の急騰が、山陰地方にも波紋を広げている。松江市内でバスを運行する市交通局では、これまで「競争入札」で決めてきた燃料の買い付け業者が集まらず、入札が成立しないという異常事態に陥った。4月分からは初めて「随意契約」での購入に切り替え、業者が納入できる量をその都度買うという、まさに「綱渡り」のような状況が続いている。
軽油確保探るも…入札が成立せず
松江市交通局は、市内で53台の路線バスを運行している。これまで燃料となる軽油は、毎月60キロリットルを「競争入札」によって仕入れてきた。しかし、イラン情勢の緊迫化で原油価格が急騰し、入札に参加する業者が少なくなった結果、入札そのものが成立しないという事態に陥った。
松江市交通局運輸課の川上貴史課長は、「例年は、毎月基本的に月60キロリットルを入札をかけてという形になっていたが、入札に参加する事業者が少なかったということで、今『随意契約』となっている」と話す。
「満タンにできない」平常時の4分の1に給油制限
4月10日の取材時点で、今月3回目となる「随意契約」での納入があり、4000リットルの軽油が敷地内の地下タンクに補充された。しかし、この量は路線バス53台が全て運行すればほぼ2日分に過ぎない。
給油エリアには「給油制限」を記した紙が掲示されており、バスの燃料タンクに最大140リットル入るところを、満タンにはせず30リットルを上限とする節約が呼びかけられている。さらに運転手に対しては、アイドリングストップを心がけるよう注意書きも貼られていた。
5月納入の見通しは立たず
4月は「随意契約」での納入があと4回分決まっているものの、5月分については現時点でまだ決まっていないという。
川上課長は、「中東の事態が落ち着いて、早く平常に戻ればなというところで期待はしておりますが、なかなか安心できるまでは少し時間がかかるのかなと思っている」と、先行きへの不安と期待が入り交じった思いを口にした。
地域住民の日常の足を支える路線バスが、遠く離れた中東情勢の影響で燃料確保に追われる事態は、エネルギー供給の不安定さが地域社会の身近なところにまで及ぶことをあらためて示している。松江市交通局の苦慮は、山陰各地で高まる緊張感の一端でもある。
(TSKさんいん中央テレビ)
