ガソリンが買えない…中東情勢の余波で販売休止へ
中東情勢の悪化により、燃料の安定供給に深刻な影響が出始めている。
鳥取・米子市では、卸売業者からの出荷規制が重なり、ついにガソリンの販売そのものを休止するスタンドが現れた。
現場の声は「再開時期は未定ですとしか言えない」と、先行きの見えない状況を嘆く声が上がっている。
仕入れが突然ストップ 「販売休止」の苦渋の決断
米子市内のあるガソリンスタンドの電光掲示板には、4月11日から燃料の販売を休止するという告知が表示されている。
運営するイシバシホールディングスの石橋浩一社長が見せてくれたのは、卸売業者からの見積書。
そこには「出荷規制」の文字が並んでいた。
同スタンドは卸売業者9社から燃料を買い付けているが、約1か月前からそのうち7社からの仕入れがストップした。
現在はかろうじて2社から調達できているものの、今後も安定した入荷の見込みが立たないため、苦渋の決断で販売休止に踏み切った。

燃料供給構造が浮き彫りにした販売休止の背景…平常時の強みが“弱点”に
安定供給が難しい最大の理由は、このスタンドが「独立系」であることにある。
石油元売り大手の系列に属さない独立系スタンドは、平常時には商社を経由して余剰分を安く仕入れられるというメリットがある。
しかし有事の際は、製油所からの納品が大手系列優先となり、独立系はどうしても後回しになってしまう構造だ。
仕入れができないだけでなく、仕入れ価格も大幅に上昇した。
近隣の大手系列店に対抗しようと価格設定を維持し続けた結果、3月だけで800万円以上の赤字を計上。
採算改善の見込みも立たないことが、販売休止の決定打となった。

停戦見通せず燃料確保に暗雲 地方の“生活の足”に危機
石橋社長は現状を「停戦にもなってないので、全く先が見通せない状況です。お客さんにとにかく『再開時期は未定です』としか言えないんですよね」と語る。
山陰地方は公共交通機関が限られており、車は“生活の足”として欠かせない。
ガソリンの確保そのものが危ぶまれるという事態は、地域住民の日常生活に直結する問題だ。

補助金の効果も有限…「6月以降」は楽観できない状況
現時点では、大手系列のスタンドでは政府の補助金の効果もあり、価格高騰や販売休止には至っていない。
しかし、その補助金も6月には枯渇するという試算があり、独立系以外でも燃料確保が難しくなる可能性が指摘されている。
さらに、影響は家庭用のガソリンだけにとどまらない。
工場が使う重油、運送会社が頼る軽油、ホームセンターで販売される灯油、これらも商社経由で仕入れている事業者が多く、すでに影響が出始めているという。
物流や製造業など、地域経済の根幹を支える分野への波及も懸念される。
仕入れ価格が落ち着き、安定供給の見通しが得られない限り、販売再開のめどは立たない。
中東の情勢が遠い出来事ではなく、山陰の生活を直撃している現実がそこにある。

