中東情勢の緊迫化を背景に原油価格の高騰が続く中、鳥取・米子市の運送会社が、輸送コストの上昇分を荷主と分かち合う「燃料サーチャージ制度」の導入に踏み切った。
取引先企業の約8割が承諾するという想定以上の結果となり、県内同業者への波及も期待されている。
覚書を交わした4月10日——何が変わるのか
4月10日、小椋運送の小椋暢介社長と荷主企業の社長が、燃料サーチャージ導入に関する覚書を正式に交わした。
この制度が導入されることで、小椋運送は通常の運送料に加えて、毎月の燃料価格に応じて設定した追加料金を荷主から徴収できるようになる。燃料費が上がれば追加料金も上がり、下がれば下がる——
つまり、燃料コストの変動リスクを運送会社だけが一方的に背負い続ける構造から脱却するための仕組みだ。
「価格が急激に高騰、このままでは耐えきれない」
制度の導入を決断した背景には、原油価格の急激な上昇がある。小椋社長は荷主に対して「かなり心苦しい部分もあった」と打ち明けながらも、こう続けた。
「価格が急激に高騰したこともあり、このままでは耐えきれないことがあり得ると思い踏み切りました」と話す。
運送業は、燃料費が事業コストの大きな割合を占める業種だ。燃料価格が上がっても運送料を据え置いたままでは、経営を維持することが難しくなる。そうした構造的な苦しさが、今回の決断を後押しした。
「お互い事業を続けていくために必要な制度」荷主側も理解
今回、覚書を交わした荷主の一社である株式会社ごうぎん地域商社の矢野哲也社長も、制度の必要性を率直に認めた。
「これからも長くお取引する意味でも受け入れざるを得ない。お互い事業を続けていくために必要な制度だという理解が広まっていけばいい」
長期的な取引関係を維持するためには、運送会社が持続可能な経営を続けられる環境が不可欠だ——。
矢野社長の言葉には、そうした現実的な認識が込められている。コスト負担の一部を引き受けることが、結果的に安定した物流を守ることにつながるという考え方は、荷主と運送会社の双方にとって合理的な選択といえる。
約8割の取引先が承諾——県内への広がりに期待
小椋運送によると、サーチャージ導入について相談した取引先企業の約8割が承諾したという。制度そのものへの理解が少しずつ浸透しつつあることを示す数字だ。
一方で、鳥取県内ではまだ燃料サーチャージ制度の導入が少ないのが現状だという。小椋運送では、今回の取り組みが県内の同業者にとって一つのきっかけになればと話している。
物流は地域の産業や生活を支える基盤インフラだ。米子市の一運送会社が踏み出したこの一歩が、鳥取県全体の運送業界における慣行を変えていく契機となるかもしれない。
(TSKさんいん中央テレビ)
