依然として先行きが不透明な中東情勢…原油価格高騰の波紋であらゆるものの価格が上昇している中、“チリ産サーモン”の仕入れ値が3か月で1割以上も跳ね上がっている。「安くておいしい」が売りだった輸入サーモンに、国内産が価格面で追いつき——場合によっては逆転する可能性まで出てきている。
鳥取・米子市の鮮魚店では、魚本体だけでなく、ラップやトレーといった備品にまで値上がりの波が押し寄せ、店主の頭を悩ませている。
5年間で約100円上昇、チリ産サーモンの高騰
鳥取・米子市内のスーパーに並ぶチリ産サーモン。100グラムあたりの価格は、5年前には約250円だった。それが需要の高まりとともに年々上昇を続け、4月上旬の時点で358円にまで達していた。
さらにここへ追い打ちをかけているのが、中東情勢の悪化による輸送コストの高騰だ。木村鮮魚店の松田優作店長によると、仕入れ値はわずか3か月の間に1割以上増加している。
松田店長は「子どもから大人まで好きな魚なので、値段が上がったからといって、僕らが値段を上げるというわけにはいかない。大変だなとは思っています」と語る。現状は企業努力によって店頭価格を据え置いているが、影響が長引けば値上げはやむを得ないという。
「そんなに変わらない」——縮まる国内産との差
こうした状況のなかで、注目を集めているのが国内産サーモンだ。木村鮮魚店では、国内産の価格は100グラムあたり398円。輸入産との差は、わずか40円程にまで縮まっている。
店を訪れた買い物客からは「海外産の方が安いイメージでしたけど、今そんなに変わらないと思って。おいしい方がいいかな」という声も聞かれた。価格差が縮小するにつれ、消費者の選択基準が「安さ」から「おいしさ」へとシフトし始めているようだ。
松田店長も、今後は国内産と海外産の価格が逆転する可能性すらあると指摘する。「安くておいしいのが魚の魅力というのがありますので、いっぱい魚を店に並べたいので、早く落ち着いてほしいです」。
魚だけじゃない——ラップもトレーなど石油由来の容器も値上がり
中東情勢の影響はサーモンの価格にとどまらない。木村鮮魚店を取材した記者が現場で目にしたのは、「ラップ」や「トレー」にまで及ぶ値上がりの実態だった。
松田店長は「白いトレーもちょっとずつ上がっているし、トレーにラップに、水分を吸うドリップシートなどの資材が全部……」と苦しい台所事情を明かす。これらの備品は石油由来の製品であるため、中東情勢の悪化とともに軒並み値上がりしており、なかには2〜3割程度価格が上がったものもあるという。
さらに、発注しても思うように届かないという供給面での問題も浮上している。「対面販売しているから、大きい魚とか皿盛りの魚とかを入れる袋が、発注をかけても思うように入ってこなくて」と松田店長は話す。
現状では備品が不足する事態には至っていないものの、使用量を減らしたり、値上がり分を商品価格に転嫁したりすることも難しく、ジリジリとした経営圧迫が続いている。
先行きは不透明…もどかしい日々
停戦協議が始まっても、依然として先行きが見通せない中東情勢。米子市の鮮魚店が直面する苦境は、遠い地域の出来事が地元の食卓や商店の経営にまで波及することを、改めて実感させる。
消費者にとっては「いつものサーモン」が少し遠くなりつつあり、店側にとっては値上げと品薄という二重の重圧がのしかかっている。松田店長の「早く落ち着いてほしい」という言葉には、地域で魚を売り続けてきた店主としての切実な願いが込められている。
(TSKさんいん中央テレビ)
