2026年度に始まった「こども誰でも通園制度」。
この制度は、保育所などに通っていない生後6か月から2歳の子どもが、毎月、一定時間の範囲で保育施設に通える制度です。
政府の進める少子化対策の一つで、2年前から一部の自治体で試験的に運用が始まっていましたが、2026年度から全国一斉でスタートしました。
どのような制度か、実際の利用者を取材しました。
鳥取市の美和保育園。登園してきたのは、「こども誰でも通園制度」の利用者です。
1歳と2歳の子どもを預けます。
2人は、誰でも通園制度専用の部屋で過ごした後、いつも園に通っている子どもたちと一緒に過ごします。
新たな通園制度では、保護者が働いているかどうかに関係なく、希望すれば月に一定時間、子どもを預けられるようになります。
利用時間の上限は1人あたり月10時間、料金は1時間300円です。
柔軟な利用ができることに、保護者はメリットを見出しています。
利用者している保護者:
なかなか家で見ていると、コミュニケーション能力がつきにくいというのが一番心配だったが、(制度を使って来ることで)コミュニケーションをとってもらえたらうれしい。
施設側にとっては、いつもとは違う子どもを預かる負担もありますが、この園は期待の方が大きいと話します。
美和保育園園長:
保護者から子育ての悩みを受けることもあって、一緒になって子育てをしていくというところが、一人一人を大切にした支援につながっていく。
2年前から試験的に運用をしてきた鳥取市は、公立の施設に「誰でも通園制度」専属の保育士を配置するなど体制を整えてきたことで、スムーズに本格運用への移行が出来たといいます。
岡部楓子キャスター:
保護者、保育施設の両方にメリットがあるようですが、課題もあるわけですね。
福村翔平記者:
「誰でも」と謳っていますが、「どこでも」というわけにはいかないようです。
こちらは山陰の12の市の受け入れ可能施設数です。
鳥取市では、試験運用での需要を踏まえて13の施設で対応可能としている一方で、ほかの自治体は軒並み少なく、松江市は4施設、出雲市は2施設など数えるほどしかありません。
松江市の担当者は、制度スタートにあたって各施設に受け入れ可能かどうか、問い合わせたものの手を上げる施設がほとんどなかったとしています。
平川翔也キャスター:
制度を利用できる施設が少ないのは保育士が足りないということでしょうか。
福村翔平記者:
こちらは2026年1月の保育士の有効求人倍率です。
全国平均は3.88倍で全職種平均の1.27倍と比べると非常に高くなっています。
単純に言うと、保育士1人に対して4つの施設から求人が出されているという状況です。
有効求人倍率は、島根と鳥取も同じような傾向で、実際に松江市内の保育施設の園長に話を聞くと、「保育士不足で、通常の保育がゆとりを持ってできない限り受け入れは難しい」、「保育士が足りないという保育現場の悲鳴が分かっているのか」と疲弊する保育現場の苦悩を打ち明けてくれました。
国は対応可能な施設に対し、施設の改修費の一部や保育士の人件費などを補助していますが、思うように制度は普及していないようです。
広く利用してもらうには、保育士不足の解消、業務負担増加への対応が必要不可欠といえそうです。こうした新しい制度とともに処遇改善といった抜本的な対策が併せて必要です。