2025年12月、福岡市でアイドルグループ『HKT48』のスタッフなど男女2人が包丁で刺された事件。殺人未遂などの罪で起訴された男が、TNCの取材に応じた。アイドルを狙い犯行に及んだ男は今、何を語るのか?
「見返りないと何も答えないです」
4月10日午前8時30分、福岡市早良区の福岡拘置所。

記者の前に姿を見せたのは、福岡・糸島市の無職、山口直也被告(30)。接見の冒頭、記者が挨拶すると、山口被告は「見返りがないと何も答えないですよ。差し入れとか」と差し入れを求めてきた。事件から約4カ月。金色に染め上げた髪は乱れ、頭頂部から黒い地毛が伸びてきている。

起訴状によると、山口被告は、福岡市中央区の『みずほPayPayドーム福岡』1階駐車場のエレベーターホールで、40代男性の胸を包丁で刺し、約2分後には、近くにいた20代女性の背中を刺し、いずれも殺害しようとしたとされている。

救急搬送され一命を取り留めた男女。このうち40代の男性は、現場近くに劇場を構えるアイドルグループ『HKT48』のスタッフだった。

捜査関係者によると、山口被告は、『HKT48』のファンで、劇場の常連客だったことが分かっているが、取り調べに対し、「HKTの複数のメンバーを狙っていた」と供述しているという。

熱心なアイドルグループのファンが、なぜ、危害を加えようと思うに至ったのだろうか?
「そちらが思ってるような後悔では」
接見時間は、約30分。記者が山口被告に「差し入れはしない」と伝え、質問してみる。
記者と山口被告のやりとりは、以下のとおり。
Q.逮捕・起訴された罪状は認めますか?
A.「そうですけど、それは裁判になったら分かるんじゃないですか」

Q.(刺した)劇場スタッフは、顔見知り?
A.「そうですけど」
Q.(被害者の)女性は、面識がなかった?
A.「はい」
Q.事件を起こしたことに後悔はありますか?
A.「ないですけど、半々ですかね」
Q.どんな後悔ですか?
A.「後悔は、そちらが思っているような後悔ではない。差し入れできないですか?差し入れしてくれたら、もっと喋りますけど」

Q.差し入れは、何が欲しい?
A.「逮捕された時にお金も全部取られた。当時は、1万5000円あるかないかでした」
警察に通報したのは「諦めたから」
現場から逃走した山口被告は、事件発生から約9時間後、福岡・春日市内のコンビニの公衆電話から「自分が犯人だ」という趣旨の通報をし、その後、警察に逮捕された。

Q.何を思って自ら通報したのか?
A.「諦めたからですよ。どこにも行くつもりがなかったし、携帯の充電もなかった」

Q.送検の時、笑っていたように見えましたが。
A.「不敵な笑みと言われていたらしいですね。本当にマスコミがいると思っていなかったので、びっくりした」
HKT48劇場の常連客だったという山口被告。アイドルの話になると、時折、笑みをこぼしながら話をする。

「(アイ)ドルオタだと思います」
Q.HKTの何が好きだったの?
A.「劇場に行けば分かりますよ。(アイ)ドルオタだと思います。中2中3くらいから」
Q.そのアイドルの活動に大きな迷惑が掛かりましたが?
A.「まぁ、結果的にね…」

捜査関係者によると、山口被告は、事件について「HKTの複数のメンバーを狙っていた。自分も死のうと思った」という趣旨の供述をしていたことが分かっている。

Q.なぜ、好きなアイドルに迷惑をかけるようなことを?
A.「そう言えば、2月11日に何があったか知ってます?」
Q.分かりません。何があったんですか?
A.「それくらい調べてから来て下さいよ」(*HKT48のバレンタインコンサートの日)
被害者への謝罪の気持ちは「ない」
犯行の動機について尋ねたが、山口被告は明確には答えず、はぐらかした。

現在の心境について記者が問うと、山口被告は、HKTの活動に「迷惑をかけたとは思いませんね」と答えた。最後に、被害者への謝罪の気持ちはないのか尋ねたが、山口被告は、「ないです」とはっきりと答えた。

起訴内容は認めるものの、被害者への謝罪の気持ちはないと話す山口被告。なぜ、自分の好きなアイドルを襲おうと思ったのか?山口被告は、今後の裁判の中で犯行の動機について何を語るのだろうか?
(テレビ西日本)
