遠い中東の動きが、鹿児島市の住宅塗装現場にじわりと影を落としている。塗料の価格は以前比で2〜3割増し、シンナーに至っては最大7割もの値上げ商品が登場し、さらには「入荷未定」という通知まで届く事態だ。「シンナーがなくなっていけば、屋根や防水工事にも影響が出る」――現場を預かる塗装店の社長はそう危機感を口にする。

鹿児島のリフォーム現場で何が起きているのか

鹿児島市内のリフォーム工事現場を訪れると、建築から23年が経ったバイク専門店の外装を塗り直す作業が進んでいた。手がけているのは、主に戸建て住宅の塗装を専門とする「つばめペイント」だ。

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職人の手元には、塗料と並んで欠かせないものがある。シンナーだ。つばめペイントの小原豪斗社長は「左側が塗料を薄めるためのシンナー。薄めることで作業性、仕上がり性に関わる大切な商品」と説明する。塗料の粘度を整えたり、塗り終わりの仕上げに用いたりと、現場では複数の用途で使われる。そしてシンナーのほとんどは、原油由来の成分でつくられている。

値上げと品薄が同時進行――現場の切実な実態

中東情勢による原油の供給不安は、こうした素材のコストに直結する。つばめペイントには塗料を取引する業者から、毎日のように値上げや出荷制限の通知が届いているという。

具体的な数字を聞くと、その深刻さが伝わってくる。塗料は以前と比べて2〜3割の値上げ。さらにシンナーは、高いものでは7割もの値上げとなっている商品もある。価格の問題だけではない。小原社長は「今の段階ではシンナーは入荷未定と言われているので、今後予測ができない状況」と話す。値段が上がるだけでなく、そもそも手に入らなくなるかもしれないという不安が、現場に重くのしかかっている。

塗料だけではない――養生材も値上がりの波に

実際の作業現場を見渡すと、影響はさらに広範囲に及んでいることがわかる。塗装の前には、窓周りや床面をシートで保護する「養生」という工程が必要になる。この養生に使う資材についても、小原社長は「今の現状で行けば養生材も出荷制限、今後値上がりの可能性が高い。養生がないと仕事にならない」と訴える。

塗装に必要不可欠な養生
塗装に必要不可欠な養生

塗料、シンナー、養生材――塗装工事を構成するあらゆる要素が、同時に価格上昇と供給不安の波にさらされている格好だ。

消費者への影響は――住宅の屋根や防水工事にも波及か

この状況が続けば、消費者への影響も避けられない。つばめペイントでは現在、手持ちの在庫を使うことでなんとか値上げを回避しているが、状況が改善しなければ価格転嫁を検討せざるをえないという。

小原社長が特に懸念を示すのは、より専門的な工事への波及だ。「シンナーがなくなっていけば、今後の心配は屋根とか屋上の防水工事とかに関わる。家の住宅のメンテナンス、屋根の防水面に関して消費者の方には不安が残る」と語る。

屋根や屋上の防水は、住宅の耐久性を維持するうえで欠かせない工事だ。その施工が滞れば、住まいの傷みが進むリスクも高まる。中東情勢という一見遠い出来事が、鹿児島市民の暮らしの基盤を直撃しつつある。先行き不透明な状況の中、地域の塗装業者と消費者の双方が、難しい局面に立たされている。

【動画で見る▶「シンナー70%値上げも」原油供給不安で塗料が高騰・品薄に 消費者の負担増を懸念】

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