政府は3月26日、石油の国家備蓄の放出を始めた。供給不安の緩和が狙いだが、近海カツオ一本釣り漁で3年連続漁獲高日本一を獲得している「竜喜丸」が所属する宮崎県日南市南郷町の漁業関係者からは、重油の大幅な値上がりを受け、今後を心配する声が聞かれる。また、JAみやざきは、燃料価格の高騰を受け、組合員が農業用ハウスなどで使用する重油への支援を決定した。
カツオ漁船年間1,000万円の経費増
現場の燃料価格は高止まりしている。日南市の南郷漁協によると、漁船の燃料となる重油は3月16日に1リットルあたり23.5円値上がりし、128.8円に達した。実に2割以上の値上がりだ。
その後、国からの補助金30.2円が反映されたものの、現在でも1リットルあたり118.8円と高値が続いている。

南郷漁協購買課 山下伸彦課長:
(ここ数年は)50銭から1円ぐらいの値上がりで(1リットルあたり)105円をキープしていた。今まで行けた所まで行けなくなるような、漁場を探しながらの操業になると思うので、大きな影響が出ると思う。

重油価格の上昇は、長距離を移動しながら年間を通じて漁を行うカツオ一本釣り漁船に深刻な打撃を与える。
大型の漁船は年間で800から1000キロリットルの重油を消費し、燃料費は約1億円に上る。重油価格が10円上昇すれば、単純計算で年間1,000万円の経費増となる計算だ。

十八号清龍丸 渡邊清吾船頭:
あまりに(燃料費が)高くなりすぎると経営も困難になってくることも考えられる。今からの状況次第とは思うが、その分以上に水揚げ量を増やしていくしか方法はないのかなと考えている。
漁業資材の値上がりも始まっており、関係者は中東情勢の行方がもたらすさらなるコスト増を警戒している。
JAみやざき重油価格高騰に対し独自支援
重油の値上がりは、農業にとっても深刻だ。JAみやざきは、組合員が農業用ハウスなどで使用する重油について、4月購入分まで1リットルあたり3円を支援することを決めた。

JAみやざきが出荷する重油価格は、2月末時点から約30円値上がりし、3月27日現在1リットルあたり150円台となっている。支援には、農業振興積立金の3000万円を活用し、これにより国の補助と合わせて1リットルあたり約19円値下げになるということだ。

JAみやざき 栗原俊朗組合長:
今から旬となるマンゴーと4月にはお茶(の製造)がはじまるので、少しでも頑張っていただいて、営農の継続をしっかりとやっていただきたい。

JAみやざきは、石油事業者と共同で最大7500キロリットルを備蓄できる石油基地を運営している。 石油会社からの重油の出荷制限がかかる中、2026年7月上旬までは安定供給ができると見込んでいる。
政府による備蓄放出という異例の措置も、現場の不安を拭い去るには至っていない。中東情勢の緊迫化など世界情勢が複雑に絡み合う中、宮崎が誇るカツオや旬の農産物を守り抜けるのか。生産者の懸命な努力が続く一方で、さらなるコスト増への警戒感は日増しに強まっている。
(テレビ宮崎)