“金の高騰”は伝統工芸の有田焼など焼き物業界にも大きなダメージを与えている。作品を彩る「金の絵の具」が急騰しているからだ。作品の質を維持するには金の絵の具が不可欠な窯元は悲鳴を上げている。

“安全資産”金の価格 約3倍に高騰

円安や中東情勢の悪化…将来に不安を抱く人が増えていることから“安全資産”と言われる金の価格が高騰している。

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この2年間の金の価格の推移を見てみると、2024年4月は1グラムあたり約1万1000円だったが、その後上昇傾向となり、2025年の秋ごろから大幅に上がりはじめ、2026年3月の初旬には約2万7000円と2年間で3倍近くまで高騰した。

金の絵の具「考えられない値段」に

この影響を大きく受けているのが、焼き物の装飾に「金の絵の具」を使用する窯業だ。

焼き物の制作に必要な道具を取り揃える佐賀・有田町の専門店は「金の絵の具」の値上がりの現状を次のように話す。

陶芸SHOP古川商店 古川由紀子 店主:
(金の絵の具の値上がりは)3倍くらい。ここ数年で上がってきたところからの3倍なので、結構な金額になっています

この店によると、10数年前の価格に比べると3倍どころの値上がりではないという。
10グラムあたりの価格は、「平成12年は2000円台だった価格が、今年に入って最高額で3万4000円」となっていて、焼き物業界にとっては大きな痛手となっている。

急激な値上がりに「金の絵の具」を買い控える動きも出てきているという。

陶芸SHOP古川商店 古川由紀子 店主:
去年までは何とか(金含有の)パーセンテージを落としてちょっと安い金でも使えるところがありましたけど、本当に考えられないぐらいの値段なので、使いたいけれども商品の単価は変えられないので、使いたいけど使えないという方が非常に多いです

“金の彩り”で勝負する窯元は悲鳴

佐賀・武雄市山内町にある「金龍窯」。金が放つ輝きと華やかな彩りが作品の持ち味だ。

この窯元にとって「金の絵の具」は不可欠。「陶土や絵の具、材料がほとんど値上がりになっている中で、一番値上がりしたのが金」という厳しい現状に窯元の経営者は頭を抱えている。

有田焼工芸美術品窯元 金龍窯 瀧下太一郎 専務:
去年、すごく(金が)高くなりましたので、企業としてどう生き残っていくのかというのは、ひしひしと感じております

作品の華やかさに海外からの評価も高く、円安でインバウンドの需要も大きいという。金龍窯では作品の最大の特徴とも言える“金”は減らさない方針だ。

有田焼工芸美術品窯元 金龍窯 瀧下太一郎 専務:
金に代わるような材料ももちろん考えなければいけないんですけども、デザイン性を損なわない程度に金を使わない道というのもあるんですが、なるべく(特徴を)こわさないように、今後も金龍窯らしさがなくならないような作品作りをやっていこうと思っています

円安や中東情勢の悪化は物価高など生活に深刻な影響を及ぼしているが、伝統工芸にも大きなダメージを与えている。

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