県境を越えた学び舎 70年の歴史に幕
少子化のあおりを受け、県内でも毎年のように小中学校の閉校が続いている。
周辺地域になるほどその傾向は強く、県によると南予で26年度末に閉校するのは『6校』に及ぶ。
校区が2つの県をまたぐ、「日本一長い校名」で知られる愛南町の学校も、閉校が決まっている。
愛媛と高知の子供たち9人が、肩を並べて学んだ最後の日々に密着した。
「日本一長い校名」の学校も休校し閉校へ
篠山賛歌:「♪北にそびえる鎮守の森は 愛媛高知の両国いだき~」
愛媛と高知に校区がまたがる日本一長い名前の学校が、「高知県宿毛市愛媛県南宇和郡愛南町篠山小中学校組合立篠山小・中学校」だ。
設立から70年以上。
県をまたぐ珍しい校区ということもあり、メディアにもたびたび取り上げられたこの学校も少子化の波には勝てず、25年度末で休校し26年度末で閉校する。

卒業生たちもさみしさ噛みしめる
「自分もこの学校で卒業したかったから、出来ないことが悲しいと思った」と語る児童。
別れを惜しむのは、子供たちだけではない。
森内さんの娘:
「寂しさはあります」
森内さん:
「それが大きい、寂しさやな…」
そう語る森内さん親子も、この学校の卒業生だ。
森内さん自身は70年前、この学校を卒業し、昭和31年の卒業生として記念誌にも学校への思いを綴っている。
孫と親子3代に渡ってこの学校に通い、ボランティアなどを続けながら、母校を見守って来た。
森内さん:
「この日が来ることは前から来ると思ってたけど、なってみれば寂しさの方があるね」

地域の人たちが企画した「最後の参観日」
学校活動最後の日まで、残り約1カ月。
この日は、地域の人たちが企画した「最後の参観日」だ。
保護者だけでなく、卒業生や見守り活動などに関わってきた人たちも続々と学校にやってきた。
児童:
「一生懸命発表するので、ぜひ感想を言っていただけるとうれしいです」
3学期の学習について発表する小学生たち。
温かいまなざしで見守る大人たちの多くも卒業生で、母校で様々な思いが頭を駆け巡る。
地域住民:
「すばらしいなと思いました。皆さん、のびのびしていて子供の数が少なくても、地元で教育するべきだと思いました」

小中学生の混合の「俳句バトル」”地域の人には感謝しかない”
この日、午後からは小中学生混合チームで「俳句バトル」が行われた。
『春近し 芽吹く 七色夢のせて』
句を詠んだ生徒:
「この俳句は、春になったら色んな花が咲くし、賑やかな雰囲気になるので、私たちが卒業して、高校になる時のワクワク感を『七色』という言葉で表しました」
同じチームの児童:
「芽吹く七色で、自分の思いとかそういう頑張るぞというのが心の中からどんどん湧いてきて、楽しみにしている様子がわかります」
春の句を詠んだ生徒に仲間たちが思いを重ね、学校中に明るい笑顔と笑い声が響いた。
児童:
「(地域の人たちが)発表とかを見に来てくれたりしたのが本当に優しいし、とてもうれしいと思った。改めて地域の人には感謝しかないと思ってます」

最後の日まで目いっぱい「思い出作り」
年度末の休校の日まで、学校では連日「思い出作り」が続く。
この日は八幡浜市から県立川之石高校の書道部のメンバーが、書道パフォーマンスを披露しに来てくれた。
実は川之石高校も、県立学校の再編計画に伴い、今年度末で統合され閉校が決まっている。
生徒:
「楽しかったです。こんなにきれいな作品に自分の名前が書けてうれしいです」
書道パフォーマンスをした高校生:
「こういう思い出を子供達が一つでも覚えてくれる事ができたら、すごいうれしい」
書道パフォーマンスをした高校生:
「お互い閉校で同じ部分もあって、一緒に思い出作りができてうれしかった」

学校はまるで“みんなが家族”
篠山小・中学校は全校で小学生3人、中学生6人。
先生も含め学校全体が、家族のように近い関係だ。
「先生はお父さんのような存在?」という記者が質問すると、返答に悩む中学生たちの横から担任の先生自ら「お兄さんですね。頼れるアニキですね」とコメント。
すると、生徒の一人が「おじいちゃん?」と返す。
このやり取りが、もう家族だ。
ある日、休み時間に音楽室で歌の練習をする生徒たちの姿があった。
Q.これは何をしてますか?
生徒:
「卒業式の歌練習」
卒業式の日に先生を泣かせようと、内緒で練習しているそうだ。
練習の状況を聞いてみると、生徒たちは「いけますね、これはいけます」と自信満々だが、一方で「自分らも泣くかも」と別れの日を思って少し寂しそう。
こうした中、ひと足早く養護の先生とのお別れの日がやってきた。
生徒一人一人と抱き合い、別れを惜しむ養護の先生。
養護教諭:
「今見た通り寂しくて本当に素直でいい子達なので、それぞれ高校が地元じゃないので3人とも、頑張ってほしいなと思ってます」

いよいよ迎えた「卒業式の日」サプライズの歌は成功するのか
3月17日、ついに卒業式当日を迎えた。
卒業生答辞:
「この9人で過ごした毎日はかけがえのない時間でした。一緒に勉強したこと歌ったこと、時間ギリギリまで給食を食べたこと、休み時間に新聞紙で遊んだこと、今でもきのうのように思い出します」
式のあとは教室に移動し、担任の先生に贈るアカペラの歌を披露。
サプライズは大成功だ。
担任・清家 優秀先生:
「きょう卒業式を迎えましたが、みなさんは明日から未来へと、しっかり羽ばたいていってください。以上で、中学校3年間これをもって授業を終わりにします」
歌のプレゼントに対し、先生からも素敵なはなむけの贈り物が。
担任・清家 優秀先生:
「純白のバラです。花言葉は“新しい出発”」
卒業生:
「色々な経験をしたことで、人生は何かというテーマの答えを見つけるための、土台になったと思います」
卒業生:
「学校が休校になって、とても悲しいんですけど、またみんなとたくさんの思い出を作ることができたらいいなと思います」

学校活動“最後の日” 先生と
休校前の“学校活動”最後の日がやって来た。
学校を去る先生たちからもエールが贈られる。
鳥谷ゆり先生:
「どこにいってもいつまでも、皆さんの味方です。頑張ってください」
ロビソン・アレン先生:
「愛南は一番ホームが感じられる場所になりました」
子供たちも、お返しに花束とメッセージをプレゼントした。
生徒:
「2年間ありがとうございました」
好岡裕子校長:
「ありがとうございます。皆さんの未来が楽しみです」

「最後の学校で今までの思い出を振り返れた1日でした」
なくなってしまう学校へ、最後の思いを聞いた。
児童:
「3学期になってから、たくさん思い出が作れて、書道パフォーマンスとかお別れ遠足とか。思い出を忘れずに、学んだことをちゃんと使って頑張ります」
生徒:
「最後の学校で、今までの思い出を振り返れた1日でした」
Q.みんなにメッセージは?
生徒:
「死ぬまで一生忘れない」
児童や生徒たちは今後それぞれ別の学校に通うことになる。
「高知県宿毛市愛媛県南宇和郡愛南町篠山小中学校組合立篠山小・中学校」
日本一長い名前の学校は無くなるが、ここで過ごした思い出は子供たちの胸にいつまでも残り続ける。

