「この服を着て、また外に出ようと思えた」――。一着の洋服が、一人の女性の人生に光を灯すことがある。宮崎県を拠点に、ネット販売を中心に展開するアパレルブランドCFT.(シフト)。「服を着た時に自信を持てる自分であってほしい」その思いを原点に、年齢や体型にとらわれないシルエットを追求し続けるデザイナー・坂元亜樹奈さん。その挑戦は、ついにファッションの聖地、フランス・パリへと到達した。
体型をカバーする「1センチ」のこだわり
SNSの総フォロワー数は57万人以上、国内ドラマへの衣装提供も行うアパレルブランド「CFT.」。起業10年目に、フランス・パリのファッションショーへの招待状が届いた。

株式会社CONFIDENCE代表取締役を務めるCFT.のファッションデザイナー・坂元亜樹奈さんを訪ねた。

デザイナー 坂元亜樹奈さん:
パリのファッションショーで出すお洋服をセットアップで作りました。ショート丈で横が長いシャツ。横を隠すことによって、腰回りを気にされるお客様も着てもらったら気にならないのかなと思う。

セットアップのパンツはウエストがゆるく作られており、ボタンをかけ違えると形が変わる。細身の人も着用できるように作ってある。
坂元さんは「幅広い体型の方に着ていただける。体型を気にされる方も、ウエストの調節ができたり、隠せたり。おしゃれに着れるデザイン」と説明する。
坂元さん自身、過去に今より10キロ以上太っていた時期があった。
どうすれば痩せて見えるのか。ありのままの自分を美しく見せてくれる、着痩せを意識した洋服作り。形や丈の長さなど、わずかな違いにまでこだわり、一着一着丁寧に仕上げる。
デザイナー 坂元亜樹奈さん:
似てるような服はいっぱいあるけど、ちょっとの差で可愛さが変わってくるので、1センチにこだわっている。
「ネットだからこそ誠実に」SNSで築き上げた顧客との信頼関係
CFT.は実店舗を持たないネット販売が中心のブランドだ。

かつてネットショッピングで「写真と違うものが届く」という苦い経験をした坂元さんは、自らがモデルとなり、SNSでリアルな着用感を発信している。
その誠実な姿勢は多くのリピーターを増やした。年に数回開催されるポップアップストアには多くのファンが駆けつける。

2026年1月、鹿児島県の山形屋での期間限定ポップアップストア。
坂元さんは「年に2、3回お客様と直接会えて、“いつもライブでコメントくださるお客様はこの方なんだ”とか、“DMのお客様はこの方なんだ”というのがまた、すごく嬉しい」と話す。

CFT.のポップアップストアにきた人:
亜樹奈ちゃんの世界観にやられてる。ファンです。推しです。私がCFT.のお洋服に出会ったのは自分が闘病中だったときで、元気をもらった。「またこの服を着て外に出よう」っていう気持ちにしてくれたのが、このCFT.のお洋服。世界に羽ばたいてほしい。

デザイナー 坂元亜樹奈さん:
自分が作ったお洋服が世の中に出ていく、着てくれている人たちがいるんだという喜び。自分の好きを一緒に共感してくれる、本当にありがたい存在で、感謝でいっぱい。
「10年間ずっと楽しい」好きな服と好きな仲間と
幼い頃から洋服が好きだった坂元さん。高校卒業後、宮崎や福岡でアパレルショップの店員として経験を積み、「可愛いと思う服を自分で販売したい」という思いから起業することを決意、30歳の時に独立した。

起業した坂元さんと一緒に歩んできた仲間たち。ホームページを作ったり、事務作業をしたり、スタッフ同士とても仲が良いという。
スタッフ yoshimiさん:
10年以上の付き合いになる。友達であり、上司であり、頼りにしている。
スタッフ mikaさん:
ムードメーカーのような、面白い。
デザイナー 坂元亜樹奈さん:
10年間ずっと楽しい。天職だなと思う。
パリの舞台へ 180センチの壁に挑む
起業から10年が経過した頃、坂元さんのもとに海外からの招待が届いた。

CFT.が今回選出されたのは、GFC(グローバル・ファッション・コレクティブ)。2017年にカナダで設立された、世界のデザイナーを発掘・育成するプラットフォームで、各国から注目のブランドが集まり、ファッションの5大都市(パリ・ミラノ・ニューヨーク・バンクーバー・東京)でショーを開催している。
選ばれたブランドだけが立つことのできる、特別な舞台だ。
海外でのファッションショーができると思っていなかった坂元さんは、当初、詐欺ではないかと疑ったが、調べていくうちに本当だということがわかり、5大都市の中からパリでのショーを選んだという。
ファッションショーまで残り1ヶ月のある日。

都城市ではファッションショーの冒頭を飾るブランドイメージ映像の撮影が行われていた。

デザイナー 坂元亜樹奈さん:
モデルサイズがすごく難しい。私が身長158センチで女性の平均なので、普段は自分の身長から低身長、高身長、と考えて作っているけど、今回はモデルさんが平均180センチということで、180センチの丈感のシルエットは大丈夫かな、など、苦戦してすごく大変だった。また、海外のファッションショーは、tha!ドレス!みたいなイメージがあるけど、私はそんな服は着ないし、考えられなくて。私が着たいなという服を作った。
世界で見せた「自分らしさ」と次なる一歩
制作期間、約1年。地元宮崎から世界へと羽ばたく日が来た。

坂元さんはショーを前に「CFT.がパリでも通用するコーデやお洋服のディテールだといいなと思う。めちゃめちゃ楽しみ。もうドキドキワクワク」。

パリで開催されたショーには、世界5カ国(アメリカ・カナダ・インド・中国・日本)から8組のブランドが集結した。坂元さんはステージ裏で、入念な準備をする。

いよいよCFT.のファッションショーが始まった。会場中が坂元さんの服に注目する。
ショーの最後には坂元さんもランウェイを歩き、たくさんの拍手に包まれた。
デザイナー 坂元亜樹奈さん:
感動でした。1年間通して準備してきたものが形になって、モデルさんに着用してもらって、パリの舞台でいろんな方々に見てもらえて、お客様、フォロワー様にもすごく喜んでもらえて、とても良かったなと思う。今までありがとう、これからもよろしくね、これからも頑張ろうね、一緒に頑張っていきたいな、という気持ちでいっぱい。自分が思った以上の世界だったので、もっともっと突き詰めて、プロとしてやっていきたいなと思う。これからもCFT.らしい服を作り続けていきたいなと思う。

パリの舞台を終えた坂元さんの視線は、すでに次の一着、そしてその先にいるお客様へと向けられていた。坂元さんが生み出すシルエットは、単なる流行ではなく、女性たちが前を向くための「鎧」であり、「翼」でもある。宮崎から世界へ。「好き」から始まった挑戦は、これからも続く。
(テレビ宮崎)
