2024年から続く「令和の米騒動」。ここにきて全国的にコメの値下がりが止まらない。福井県内のスーパーでも、特売コーナーを設けてブランド米を安く販売するような動きも出始めている。消費者からは歓迎の声が聞かれる一方で、農家は価格の暴落に危機感を示している。
コメ価格の変動に戸惑いの声
「日本人である以上、やっぱりお米が主食なので…食べないという選択はないんじゃないんですかね」
「最近(コメは)買っていないので安くなるのはいい事。安くなったらやっぱり買おうかな」
街で聞くと、食卓にはやはりコメが欠かせないという声が。
しかし、その価格については「上がったり下がったりっていうのは聞いたりするし、なんか不安定かなっていう印象」と、戸惑いの声も聞かれる。
一時期の高騰から一転、コメの価格は下落傾向にある。
6週連続の値下がり…背景に「米余り」
全国のスーパーで販売されたコメの平均価格は、5キロあたり3978円。これで6週連続の値下がりとなった。
価格が下落する背景にあるのは、深刻な「コメ余り」だ。

2024年から続く「令和の米騒動」でコメの価格が急騰。その後、消費者の買い控えも重なり、在庫が積み上がってしまったのだ。
来年6月末の民間在庫量は、最大で271万トンに達する見通しだ。これは、適正とされる180万から200万トンを大きく上回る数字である。
さらに、今年の生産量も需要を上回る見込みで、コメ余りの傾向はますます強まっている。
生産者と消費者の間にある“価格”への思い
この現状に、生産者側は複雑な思いを抱いている。JA県五連の宮田幸一会長は定例会見で、その胸中を語った。
「豊作になればとは思うが、コメ余りの状況が続くと暴落するという恐れも感じている」
豊作を願いながらも、それがさらなる価格下落を招きかねないというジレンマ。その懸念は、すでに現実のものとなりつつある。
一方で、この価格下落は消費者からは歓迎されているようだ。
福井市内のスーパーでは、入り口を入ってすぐの場所に、今月から銘柄米の特売コーナーが設けられた。福井県がブランド化を進める「いちほまれ」が5キロで税抜き3290円と、通常の690円もの値引きがされている。

この価格に、買い物客からは「めっちゃ安いしね、ありがたい。ほんとにありがたい」「この機会に食べようかな」と喜びの声が上がる。
滋賀県から来ている娘のために購入したという人は「ぜひ食べさせたいなと思って買ってあげた」と笑顔で話す。
「安くなるのはいいことだとは思うんですけどね、みんな買いやすくなる」と家計にとっては大歓迎のようだ。
安定供給で変わる購買行動
スーパーの担当者も、市場の変化を実感している。
「銘柄米でも税込み4000円前後で安定していて、ブレンド米なさらに買い求めやすい価格となっている」
価格が高騰した去年は商品が少ないこともあり、まとめ買いをする客が多かったという。しかし、今は状況が違う。
「安定して商品が提供できるので、そのときに必要な分を買う形に変わっている」
コメ価格が高騰した際には、パンや麺へと消費が流れる動きも見られた。しかし、価格と供給が安定したことで、客足は再びコメに戻りつつあるという。
家計にとってはプラスとなるコメの値下がり。しかし―
福井市内のコメ農家は「去年は高くなりすぎた。その時、高く仕入れた業者が今は安く売らざるを得ない。そうなると次は思うように買ってもらえなくなるかもしれない」と、経営への影響を口にする。
コメ余りの現状、その先に“農家が作り続けられるか”の分かれ道があるといえそうだ。
