北陸新幹線の大阪延伸ルートを巡る議論が再燃する中、日本維新の会所属で京都府選出の新実彰平参院議員は、現行の「小浜・京都ルート」に固執せず、「すべての選択肢をフラットに再検証すべき」だと訴えています。

昨年の参院選でこの問題を公約に掲げて当選した新実議員に、現在のスタンスと今後の展望について聞きました。

■「すべてのルートをフラットに」

ー北陸新幹線の延伸ルートについて与党内で議論が再燃しています。新実議員の現在のスタンスを聞かせてください。

【維新・新実彰平参院議員】「昨年の参議院選挙で訴えたことと変わっていません。小浜・京都ルート(福井県小浜市から京都駅を経由し新大阪駅へ至るルート)は、京都府・市の同意が得られるかという問題に加え、京都への過大な負担の割にメリットがさほど大きくないと考えています。

30年近い工期と5兆円以上の総事業費は国益にも資さない可能性があり、小浜・京都ルートができない、もしくはふさわしくない可能性が高まってきた以上、他の選択肢を整え始める時期に来ているという立場です」

ー日本維新の会は8つのルートを提案されていますが、新実議員個人としては、どのルートが最もふさわしいとお考えですか。

【維新・新実彰平参院議員】「まさに今、すべてのルートをフラットに並べ、政府・国交省に費用対効果や工事期間などの再検証をお願いしているところです。

議論の出発点は『小浜・京都ルートが厳しいのではないか』という点にありますので、個人的にはそれ以外のルートにしたいという感覚はありますが、現時点で特定のルートがふさわしいと申し上げるべきではありませんし、その根拠もありません」

■優位性が高い可能性があるのは”米原ルート”

ー昨年の参院選では「米原ルート」について訴えていたと認識していますが、その点はいかがですか。

【維新・新実彰平参院議員】「過去の試算で最も費用対効果に優れ、お金も時間もかけずに便益が得られる蓋然性が高いという調査がかつてあった。

そういうルートがある中で、『小浜・京都ルート』1本で議論するのはどうなのかという問題提起をさせていただきました。今も費用便益比において最も優位性が高い可能性があるのが『米原ルート』だという認識は変わりませんが、それもまさに今計算しているところです。

『米原ルート』についても、すべてのステークホルダーが賛成しているわけではありません。費用対効果では劣るかもしれないが地元が熱望しているルートもあります。だからこそ今このルートだと申し上げることは、むしろ議論を硬直化させてしまう可能性があると考えています」

■「30年かけて通しても京都の方に喜ばしい結果にならない可能性」

ー決定した小浜・京都ルートを再検証すべきだという理由を聞かせてください。

【維新・新実彰平参院議員】「物価高騰や働き方改革の中で工事期間が延び、費用も増えたという前提の変化が大きいです。5兆円以上の費用と30年近い工期という話が出てきました。これだけ時間がかかると、南海トラフ地震に備える東海道新幹線のバイパス機能という国益の観点からも問題です。

また、総事業費5兆円のうち、一定割合は京都府や京都市が負担せねばならず、過去の例に照らせば1000億円以上になる可能性も十分にあります。これだけの府民税・市民税が投入されることに、府民・市民からは複雑な声が上がり、府知事や市長も態度を変えています。

環境への影響も無視できません。京都市内の慢性的な交通渋滞が、20年・30年と土砂を積んだトラックが走り回ることでさらに悪化する状況を京都が受け入れられるとは思えません。

また、水の問題も科学的なリスクだけでなく、京都が持つ水文化という精神性に関わる問題だと、多くの方からお話を聞いて実感しています。あらゆる意味で、仮に30年かけて通せたとしても、京都の方にとって喜ばしい結果にならない可能性があると考えています」

■「『何を解消すれば通せるのか』を詰めていきたい」

ー滋賀県の三日月知事やJR西日本の社長は、「米原ルート」はふさわしくないと発言しています。こうした意見をどう受け止めていますか。

【維新・新実彰平参院議員】「特定のルートに特化して話すのはふさわしくないかもしれませんが、『米原ルート』について言えば、三日月知事は費用負担や並行在来線(※新幹線開業に伴いJRから経営分離される可能性のある在来線)の問題を懸念されていると見ています。逆に言えば、それが解決すれば可能性がないものではないと受け止めています。

『米原は三日月知事が求めていないからできない』とおっしゃる方がいますが、ではなぜ『小浜・京都ルートはできる』とお思いなのか問いたい。すべてのルートにやりたい人とやりたくない人がいます。だからこそ、すべてのルートについて『何を解決すればできるのか』をもう一度並列で考えませんかと申し上げているのです。

JR西日本の倉坂社長は、先日の整備委員会で、我々の『小浜・京都ルートができなかった場合、他のルートでやるのか、やらないのか』という問いに対し、『お決めいただいたルートの中で運行させていただくほかありません』と発言されました。

つまり、『小浜・京都ルート』がダメだったときに『やらない』とまではおっしゃっていない。それぞれのルートで『何を解消すれば通せるのか』という議論を1つ1つ詰めていきたいと考えています」

■亀岡市に舞鶴市…誘致の声を上げる京都の自治体

ー亀岡市や舞鶴市など、京都府内で誘致の声を上げている自治体があることについては、どのように受け止めていますか。

【維新・新実彰平参院議員】「それぞれの自治体にとってメリットがあるルートをお求めになるのは当然です。声を上げていただければ、議論の中で『このルートは自治体が強く求めている』という根拠になります。

各ルートには長所と短所があります。『米原』は時間もお金もかからないが、関係者の合意形成が課題。『亀岡』は地元が熱望しているが、京都市内を通らない。『舞鶴』は京都北部の振興につながるが、速達性や費用に課題がある。どのルートを取ってもネガティブな声はあるし、望む人もいる」

ーあとは感情論を抜きにして、数字などで話していくしかないということですか。

【維新・新実彰平参院議員】「そうですね。その中で、どのボトルネックであれば解消できるのかを明らかにしたい。解消できるネックを持っているルートを最後に選び、みんなで解消しに行くという作業に持っていきたいと思っています。

本来、このプロセスはフルオープンにし、有権者に見ていただきたかったのですが、残念ながら自民党にお認めいただけませんでした。結局、密室で決まったよね、ということだけは避けなければなりません。議論の過程が見えなかったことが、今回の納得感のなさにつながっていると思います。

可能な限り議論の中身をご説明し、最終的に新幹線を通せた地域の方にも、願いが叶わなかった地域の方にも、きちんと説明できる議論を後世に残したいという思いが強くあります」

■「衆院選の結果が北陸新幹線の議論に影響を与えるべきではない」

ー先日の衆院選で自民党が圧勝したことが、今回の議論に与える影響をどう感じていますか。

【維新・新実彰平参院議員】「一般論として、様々な政策協議において自民党の発言力が強くなるのは否定できないと思います。ただ、今回の衆院選で北陸新幹線のルートが大きな争点になったとは認識していません。

むしろ、この問題に関する直近の民意は、特に京都においては昨年の参議院選挙にあるのではないかと考えています。参院選の結果を受け、自民党の西田昌司参院議員もルートの再検証に同意してくださったという意味では、参院選の結果を重く見てくださっているのだと思います。ですから、衆院選の結果が北陸新幹線の議論に影響を与えるべきではないと考えています」

(取材:関西テレビ記者・犬伏凛太朗)

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