東南アジア・タイの農業に変革を起こそうと、静岡県内の企業がタッグを組んであるプロジェクトが始まりました。現地に進出する中小企業の挑戦を追いました。

バンコク支社・杉村祐太朗 記者:
ここはバンコクの郊外です。こちらのオフィスビルに入る静岡の企業が、ある先進的な取り組みを始めました

YN2-TECHの社員:
タンモット テオトロン(気を付け)サワディーカー(おはようございます)

社員全員で朝礼を行っているのはタイの首都・バンコクのYN2-TECH。

静岡市清水区の機械商社・中村機工の現地法人で、工作機械の設計や調達、販路開拓などを通じて日系製造業をサポートしています。

流暢なタイ語で社員に指示を出す中村亮太 社長。

いま、タイの農業に変革を起こそうとしています。

YN2-TECH・中村亮太 社長:
タイの地場産業である農業の付加価値を上げていく。県内の企業の技術を使ってアップデート(更新)して世界に発信していく

注目したのが、タイが世界有数の生産量を誇るパイナップル。

温暖な気候で育つタイのパイナップルは甘みが強く、海外にも多く輸出されているほか、街中では絞りたてのジュースやスムージーが楽しめる専門店が人気を集めています。

一方でパイナップルは芯や皮が厚く、加工する際に実の半分以上が廃棄されることが大きな課題となっていました。

この課題解決に中村社長とともに動き出したのが清水区の脱水機メーカー・川口精機の大澤社長と吉田町の乾燥装置メーカー・大川原製作所のナッタン所長です。

同じビルに事務所を構える県内企業がタッグを組み、パイナップルの廃棄量削減を目指したプロジェクトが始動。

各メーカーの技術を組み合わせて新たな工場で実証実験を行っている様子を今回特別に撮影させてもらいました。

作業はジュースなどに使う果汁を搾り取るもの。

川口精機・大澤宏典 社長:
まず、こちらのスクリューコンベアにパイナップルを丸ごとを投入する

投入するパイナップルは一度に400kg。

コンベアで運ばれ、細かく粉砕されます。

川口精機・大澤宏典 社長:
心臓部のスクリュープレス脱水機。粉砕されたパイナップルをスクリューで圧縮をかけながら搾汁する

川口精機が特許を取得したこの技術を使うと、抽出効率がこれまでに比べ最大2割アップ。

1個のパイナップルから搾り取れる果汁が増えることで廃棄量を減らすことができます。

川口精機・大澤宏典 社長:
よりよく搾って多く液体を取って、水分を減らしたものをリサイクルするのが一番いい取り組みだと評価されているので強みだと思っている

さらに果汁は大川原製作所の機械で濃縮・乾燥され、粉末状に。

液体から粉末にすることで運びやすくします。

温室効果ガスの削減にもつなげます。

この日はタイ工業省の幹部が工場を視察。

他の果物や野菜でも応用できる高い技術と環境保全に向けた取り組みに大きな期待を寄せていました。

タイ工業省・ランシットポン事務次官:
日本の優れた抽出・加工技術をタイの原材料に活用でき、タイへ投資してくれたこと、我々と方向性を共にして歩んでくれていることを大変うれしく思う

国や企業の枠を超えた“ワンチーム”で挑む新事業。

現場で働く社員は…。

YN2-TECH・コンプラーブさん:
グローバルな事業に挑戦できて、いいチームで働けている

YN2-TECH・パッチャイクンさん:
様々な事業を通して、私たちは会社や新たな技術と共に成長していくことができる

中村社長は日本、そして静岡が持つ高い技術をもっと海外に発信したいと意気込みます。

YN2-TECH・中村亮太 社長:
日本の技術者がつながっていくことで世界でも通用するものはいっぱいあると思う。ここでいい実績を作って、タイからグローバルに広げていきたい

“技術を組み合わせて課題解決を図る”。

新たなスタイルで世界に挑む県内企業の取り組みに注目が集まります。

テレビ静岡
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