医師と看護師が同乗していち早く現場に駆けつけ治療を開始するドクターカー。
米子市の鳥取大学附属病院では10年以上前に導入され、多くの命を救っていますが、今、出動件数が急増しています。
これまでにない忙しさのドクターカーの1日に密着しました。

2月24日午前8時半過ぎ、米子市の鳥取大学附属病院、救命救急センターに鳴り響くのはドクターカーの出動要請です。
待機中の医師たちは、患者の詳細を確かめる間もなく車に飛び乗ります。

看護師:
「何って言ってましたっけ」

鳥大附属病院救命救急センター・藤井直人医師:
「意識障害。うなってるらしい」

鳥大附属病院救命救急センターの藤井直人医師。
この日のドクターカー担当です。
医師や看護師が同乗して、救急要請があった現場に向かうドクターカー。
いち早く処置を始めることで、救命率の向上や後遺症の軽減につながると期待されています。

現場で待つ患者は意識障害があり、命を救うためには迅速かつ的確な判断が求められます。

看護師:
「採血は一応しますか?」

鳥大附属病院救命救急センター・藤井直人医師:
「そうですね。300だったら鳥大かな…」

伝えられたわずかな情報を手掛かりに、現場での対応をシミュレーションします。
そして…。

要請から15分ほどで患者の元に到着し救急隊と合流。

看護師:
「分かります?」

呼びかけに反応はなく、意識はありません。
1分1秒を争う危険な状態です。

看護師:
「ルートとりました。採血します」

鳥大附属病院救命救急センター・藤井直人医師:
「嘔吐してるわ。吸引吸引」

患者の採血を済ませ、鳥大病院へ搬送します。
その間も…。

鳥大附属病院救命救急センター・藤井直人医師:
「血圧高いから」

看護師:
「ニカルジピンいきますか」

血圧が高く対処が必要と藤井医師は判断、血圧を下げる薬を投与することにしました。医師でなければできない医療行為の一つです。

ドクターカーに要請が出されるのは、その多くが、こうした医師による迅速な処置が求められる現場です。

ドクターカーによる事前の診察・処理があり、病院に到着するとスムーズに次の診察へ。患者は一命を取り留めました。

息をつく間もなく、次の出動…。

鳥大附属病院救命救急センター・藤井直人医師:
「今のところ(1日の)最高6件です。境港行って、南部町行って、大山行って…あれはやばかったな…」

2025年夏以降、立て続けの出動要請は珍しくないといいます。
その理由は…。

鳥取県のドクターヘリの相次ぐ運休です。
2013年に鳥大病院に導入されたドクターヘリ。
2024年度の出動実績は509件、計算上は1日1件以上、出動している地域にとってまさに「命の砦」です。

しかし、整備士不足を理由に2025年7月以降、たびたび運航を休止。
取材したこの日も2025年度で8回目の運休期間に入っていました。
「ドクターヘリ」が頻繁に不在となる状況に、鳥大病院の救命救急センター長・上田敬博医師は…。

鳥大病院救命救急センター長・上田敬博医師:
「慢性化というか毎月(の運休)になっていて、なおかつ運休日も伸びているということで、非常に運航会社の管理者というか責任者に対しては非常に憤りを感じています」

こうした状況の下、ドクターカーはヘリに代わる「命の砦」です。

鳥大病院救命救急センター長・上田敬博医師:
「いつもよりもドクターカーの出動件数は増えますし、出動の範囲も広くなるというのは顕著に現れています」

2024年度、1日平均1.07回だったドクターカーの出動回数は2025年度、ドクターヘリの運休中に限ると1.73回、6割ほど増加しています。
通常、ドクターカーの担当は車で15分ほどの範囲、主に米子市内ですが、ヘリの運休中はその範囲を拡大、山間部にも出動しています。
しかし…。

鳥大病院救命救急センター長・上田敬博医師:
「10分ぐらいで患者接触ができていたところを、40分から50分陸路でいかないといけないと、その間に不利益が出てしまったらどうしようと言う不安を持ちながら活動しているのが一番つらいという感じはある」

空と陸では所要時間の差を埋めることはできません。
現場に赴くスタッフは、「もしも」の不安と常に隣り合わせです。
東西に長く、山間部も多い山陰地方にとって「命の砦」といえるドクターヘリ。
運休という異常事態のもとでも一つの命も落とすことがないよう、ドクターカーは休むことなく患者のもとへ走ります。

TSKさんいん中央テレビ
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