北陸新幹線が福井に延伸して2年。北の玄関口、あわら市では2年連続で開催された将棋の最高峰「竜王戦」が新たな起爆剤となり、大きなにぎわいを見せた。
棋士の「勝負めし」も話題を呼び、熱気は街全体へ。しかし…この熱狂を一過性のものにせず、いかに日常につなげるか。次の一手が問われている。
2年連続の「竜王戦」というコンテンツ
2024年にあわら市の温泉旅館で初めて開催された、将棋界最高峰の戦い「竜王戦」。藤井竜王をはじめ一流棋士による対局が繰り広げられたが、それは一度きりではない。

2年続けて、タイトル戦が同じあわら市で開かれたのだ。
森之嗣市長も「まさか2年続けて開催ができるとは思ってなかった。あわら市、特にあわら温泉にとって非常にインパクトが強かった」と語る。

北陸新幹線開業を見据え整えた場所に、竜王戦という強力なコンテンツが重なったことで、その効果は盤上の外にも広がっていった。
「勝負めし」の波及効果が街全体に
対局と並んで注目を集めたのが、棋士が対局中に味わう「勝負めし」だ。
藤井竜王が対局後に、勝負めしで選んだおろしそばの「大根おろしの辛さに驚いた」と触れると、その店には、棋士と同じものを味わおうと、次々と客が訪れた。
地元の飲食店が協力し用意した勝負めしや勝負おやつのメニューは、1年目は38品目だったが、2年目には45品目へと増えた。森市長は「あれだけのメニューをそろえたのはあわら市が最初だっと言われましたから」と胸を張る。

勝負めしを食べに訪れていた観光客は「金沢までは来ることがあっても、その先は…なかなか行くことなかったので、北陸新幹線のおかげ」と、新幹線開業がきっかけとなったことを明かした。
新幹線開業1年目、人を呼んだのは新幹線そのものだった。
そして2年目、人を呼んだのは竜王戦というコンテンツであり、さらにグルメがその熱を街全体へと広げたのだ。

勝負おやつに選ばれにぎわった店の店主は「新幹線の効果はあんまり実感できてないけど…竜王戦の効果は、もう絶大。竜王戦を機に街がもっともっと盛り上がってくれれば」と期待を込める。
熱狂を日常へ、問われる次の一手
竜王戦の熱は、飲食から宿泊へ、そして温泉街全体へと広がった。
駅前の交流施設では、竜王戦に合わせて子供向けの将棋イベントが開かれた。地元の高校生は「地元が活性化してくれるので、こういうイベントをもっと開いてほしい」と話す。

整備してきた箱は、確かに機能している。しかし、現状、それは特別な日だけの光景だ。
森市長は「イベントを開催する土日は人が集まるが、イベントがない日は集まらない」と課題を口にする。

熱狂を日常へ。2年続いたからこそ、問われる次の一手。
将棋の街として今後も進んでいくのか、それとも、別のコンテンツを呼び込んでいくのか。
「今のところ…決めかねている」と、森市長。

「何を目的に、あわら温泉に来てもらうか。お客さんを引き込む、関心を持ってもらうところが足らない。2泊3泊してもらえる温泉にしていかなければならない」

新幹線開業2周年。開業効果は自然には続かない。
コンテンツをどう育てていくのか。その答えは、これからの積み重ねにかかっている。
