2011年3月11日起きた東日本大震災。発災から15年という節目を迎えても、島根・鳥取両県では101人が被災地からの避難を続けている。(2026年2月時点 鳥取県53人、島根県48人)
避難生活の長期化により、経済的困窮や孤立という新たな課題が深刻化している。

年金だけでは厳しい現実 生活保護受給者も

「皆さんが安定して生活しているとはいいがたい」
鳥取県内で避難者支援に取り組むNPO法人「とっとり災害支援連絡協議会」の佐藤淳子代表は、避難者の置かれた厳しい現状をこう語る。

避難者支援に取り組む佐藤代表
避難者支援に取り組む佐藤代表
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時の流れとともに、避難者の生活環境は大きく変化している。高齢化が進む中で年金のみに頼る避難者が増え、中には生活保護を受給するケースも出てきた。

「年金だけでは難しいというか、とても大変だということで、一時的に生活保護になられた方もいる。子どもの学費とかどんどんフェーズが変わっていく中で、そんなに安定した生活は難しいんだろうなと」と佐藤代表は続ける。

自立した生活維持が困難
自立した生活維持が困難

避難者の多くは年金生活者や非正規雇用で働く人々であり、経済的基盤の不安定さが生活を圧迫している。各都道府県が実施していた住宅補助や生活費支援は、すでに多くの自治体で打ち切られるか縮小されており、自立した生活を維持することが困難になっているのが実情だ。

「避難者として見られたくない」心境の変化

避難者の心境に変化
避難者の心境に変化

経済面での困難に加えて、避難者のコミュニティ形成にも変化が生じている。佐藤代表が指摘するのは、避難者の心境の変化だ。

「自分たちで何とかしなきゃいけないのかなという思いがある。表立っての支援策を拒むというか交流会をしましょうと言っても、参加する人がぐっと少なくなっている」と対応の難しさを語る。

避難者向けのイベントも年々減少
避難者向けのイベントも年々減少

協議会が主催する避難者向けのイベントへの参加者は年々減少している。高齢化による体力の衰えもあるが、より深刻なのは「もう避難者として見られたくない」という心境の変化だという。

「避難者として見られたくない」15年の歳月で変化する心境
「避難者として見られたくない」15年の歳月で変化する心境

15年という歳月は、避難者にとって複雑な感情をもたらしている。一方で避難先の地域に溶け込みたいという思いがありながら、他方で支援を必要としている現実がある。このジレンマが、避難者同士のつながりを希薄にし、孤立を深刻化させる要因となっている。

「寄り添い型支援」の必要性

支援のアプローチ方法を模索
支援のアプローチ方法を模索

佐藤代表が最も懸念しているのは「避難者の孤立」だ。支援の表面化を避けたがる避難者に対して、どのようなアプローチが適切なのか。

「365日、気にしてくださいではないが、時折どうですかと言って寄り添う、寄り添い型の支援というのがやっぱり必要だと毎回思います」

継続的で押し付けがましくない、そっと寄り添うような支援のあり方が求められている。避難者の尊厳を保ちながら、必要な時に手を差し伸べられる関係性の構築が重要だと佐藤代表は考えている。

15年目の課題と今後

細やかな寄り添い支援が今後も求められる
細やかな寄り添い支援が今後も求められる

発災から15年という節目は、避難者支援の新たな局面を浮き彫りにしている。初期の緊急支援から長期的な生活支援へ、そして今は個別の事情に応じたきめ細かな寄り添い支援が求められている。

経済的困窮、高齢化、孤立化という三重の課題に直面する避難者たち。彼らが避難先で真の意味での生活再建を果たすためには、行政や支援団体、地域社会全体での継続的な取り組みが不可欠だ。

「今なお避難を続ける人たちにどう寄り添うべきか」—この問いかけに対する答えを見つけることが、15年目の重要な課題となっている。

(TSKさんいん中央テレビ)

TSKさんいん中央テレビ
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