給食の質の向上を図っている福岡市では、和食の献立との相性などを考慮し、従来の牛乳に代わって、お茶を提供する日を月に1回、設けることにした。
和食の献立に合わせて緑茶が登場
福岡市中央区の笹丘小学校。6月2日、給食の時間に配られたのは、お馴染みの牛乳ではなく、紙パックの『緑茶』だ。

この日の献立は『麦ご飯』に『サバの塩焼き』、それに『きゅうりの浅漬け』など。和食メニューに合わせて福岡市立の小学校のうち30校で初めて“お茶給食”が実施された。

児童の反応は「日本は、お茶がおいしいから、こういうのが出て嬉しいし、おいしいです」(男子児童)や「牛乳とお魚は合わないけれど、お茶はすごく合います」(女子児童)と概ね好評だった。
県内有数のお茶の産地では…
小学校での緑茶の提供。かねてから独自の方法で実施しているのが、福岡県内有数のお茶の産地、県南部に位置する八女市だ。

八女市立筑南小学校の廊下に置かれているのは、自動の給茶機。

八女市では、特産の緑茶に子どもの頃から慣れ親しんでもらおうと、市や農協などが費用を負担し、9年前から市内全ての小中学校に給茶機を設置している。提供されているのは、地元でとれた新茶だ。

給茶機では、お茶が1杯ずつ淹れたてで提供されるほか、子どもも飲みやすい味わいになるよう工夫されている。子どもたちは、ボタンひとつで、いつでも自由に緑茶を飲むことができるのだ。

「苦くて、さっぱりします」(女子児童)、「八女市ならではの味がします。俺は好きです」(男子児童)と児童にも評判がいい。

「もう、当たり前にある自分たちの身近な飲み物として児童は飲んでいると思います」と話すのは八女市立筑南小学校の沖富二子・校長。

「抽出時間は9秒間。温かいお茶は65度の温度設定。冷たいお茶は10度の設定をしています。お茶のうまみ、香りが急須でお茶を淹れるときと同じような状態で出ます」という。
“和食にはお茶” 食育の一環として
八女市の小学校では、すっかり定着している緑茶だが、日本の学校給食では、これまで主食やおかずがどんなメニューでも基本的に牛乳が一緒に提供されてきた。

牛乳は、栄養面に優れ、戦後の子どもの栄養失調を改善するため、給食に導入された経緯があるからだ。

しかし、給食の献立の多様化を受けて福岡市の高島宗一郎・市長が「和食に牛乳という組み合わせとか、そういったことも含めて是非、幅広く検討をして頂ければ」(2025年6月19日)と会見で述べたことがきっかけとなった。

『和食には牛乳は合わない』という声もあり、福岡市では従来の牛乳に代わってお茶を提供する日を月に1回、設けることにしたのだ。

福岡市教育委員会給食運営課の野原健・課長は「日本の食文化への理解を深めてもらうという目的。福岡市は日本で初めてお茶が入ってきたという歴史があるので、お茶の歴史も含めて子どもたちに広めていけたら」と話す。
栄養面で優れた牛乳と比較すると…
ただ、気になるのが栄養面だ。福岡市の学校給食1食あたりのカルシウム摂取基準は333ミリグラム。しかし、この日の献立ではカルシウムの量は合わせて53ミリグラムと、基準の約6分の1しかなかった。緑茶のカルシウム含有量がゼロなのだ。

教育委員会給食運営課の野原課長は「お茶を提供しても昨年度と同じ程度の栄養素とエネルギー量をしっかりと確保していきたいと考えています」と話し、月単位や年度単位で摂取量を調整して基準を満たすよう確認していくとしている。

福岡市教育委員会は、今年度の状況を踏まえて緑茶提供を来年度以降も継続するか検討する方針で、緑茶のほか今後、ほうじ茶や麦茶の提供も検討しているという。
(テレビ西日本)
