「放浪を辞める」誓いをして、画家として活躍することを決意した山下清。すでに有名人だったため、すんなり画家としてのキャリアをスタートさせた。油彩やペン画などにもチャレンジし、各地で行う展覧会は大成功だったという。
驚異的な動員数!映画「裸の大将」へ
1956年(昭和31年)東京の大丸(現:大丸松坂屋百貨店)での展覧会は、人気を裏付ける出来事があった。26日間で80万人という驚異的な動員数を記録したのだ。
清は展覧会にも出向き、サイン会はどこも大盛況だった。次第にテレビ出演や雑誌の依頼が増え、映画「裸の大将」をはじめ、ドラマ化も続き、世に広く知られる存在となった。
「横浜ふ頭にて」は、映画撮影のために清役の小林桂樹氏が、清がスケッチする様子を見学した時のものだ。
マジック1本でグラデーションを表現
清は貼絵以外にも様々な創作にチャレンジし、特に「ペン画」の創作が増えた。一粒一粒がまるで機械で打ったかのような同じ大きさで描きこまれているのは圧巻だ。
清が正確に描くドットはグラデーション効果があり、平坦になりがちなペン画作品に陰影や深みをもたらした。
「東京オリンピック」の作品は、聖火の様子を表現している。観客の表情まで細かく描かれている。これがマジック1本で表現されているのが信じられない。
しかも、使っているのは先が太い油性マジックペンだという。やり直しがきかないので通常、画家は嫌うというが、清は複雑な絵でも間違えることなくすらすらと描けたという。貼絵の経験から点描で描くことに慣れていて、あまり抵抗を感じなかったようだ。
展覧会の行く先々でペン画による創作を行い、全国各地の名所旧跡、風景や風物の傑作を数多く残した。「お蝶夫人屋敷」はグラバー邸を描いた作品だ。
貴重な油彩「乾くのが待てない」
貼絵やペン画は相性が良かった一方で、油彩はいま一つ馴染めなかったようだ。現存している作品も数えるほどしかない。
油絵が乾くのが待てず、油彩を好まなかったといわれている。
清の油彩は基本的に点描画だ。最初のころは皿に描く「皿絵」で、花をモチーフに静物画が多く描かれていた。
「皿絵」は、パーティー用の紙皿を使っている。
「生誕100年山下清展-百年目の大回想」は長崎県美術館企画展示室で4月5日まで開催中。料金は一般1500円、中高生1000円、小学生以下無料となっている。
(テレビ長崎)
