食の雑誌「dancyu」の元編集長・植野広生さんが求め続ける、ずっと食べ続けたい“日本一ふつうで美味しい”レシピ。 

植野さんが紹介するのは「サバのリエット」。リエットとは豚肉などをじっくり煮込み、ペースト状にしたフランスの伝統的な保存食で前菜のこと。

神奈川県・鎌倉市にある小町通りの賑わいから少し離れた路地に佇むイタリアン、「オステリア コマチーナ」を再び訪れ、脂の乗ったサバを使い、ほろりとほどける食感と、クリーミーさの奥から広がる魚の旨みを引き出した一品を紹介。

釣りを愛し、素材と真摯に向き合い続ける料理人の飾らない人柄にも迫る。

お酒と料理を楽しめるイタリアン

植野さんがやってきたのは、JR鎌倉駅。鶴岡八幡宮のある東口に出て、小町通りへ進み、そこから一本脇道へと入る。

JR鎌倉駅から徒歩5分の場所にあるのが、町の喧騒から離れ、ゆったりとした時間が流れる「オステリア コマチーナ」だ。

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「オステリア」は「ワイワイお酒と料理が楽しめる店」という意味をもつイタリア語。

店内はカジュアルな雰囲気のテーブル席とカウンター席のほか、日差しが心地よいテラス席も。

店を切り盛りするのは、オーナーシェフの亀井良真さん。味のある厨房で黙々と料理を作る。

数名のスタッフで亀井さんをサポートするなど、暖かい雰囲気の中で食事を楽しむことができる。

そんなコマチーナの料理は、どれもじっくりと時間をかけた丁寧なものばかり。中でも自家製パスタは種類豊富。マグロと茄子のラグーソースを使ったまろやかな味わいのスパゲッティや「パッケリ」と呼ばれるもちもち食感の肉厚パスタを使った一皿。

さらに釣りが大好きな店主ならではの料理も。釣った魚一本を丸ごと使ったアクアパッツァや、外はサクッ中はふわっとした太刀魚のフリットなど、地元の人や鎌倉を訪れた多くの観光客に喜ばれている。ワイワイと気兼ねなく賑やかに楽しめる店だ。

魅力は“粋”余分なことをしてない

1974年、兵庫県西宮市で生まれた「オステリア・コマチーナ」のオーナーシェフ、亀井良真さん。「ピザやパスタが好きなのでイタリアンのシェフになろう!」と、27歳で料理人を目指し、2010年、36歳の時に店をオープンした。

植野さんが以前訪れたのが2年前。そこからの変化を聞かれると亀井さんは「去年、15年ぶりにイタリアとフランスに行って来ました。イタリアは遠征が中心で、フランスはアルザスとパリでステーキを食べまくって」と話した。

その旅で気づいたこともあり、ワインの生産者との交流を持ったことでワインメニューが充実し、肉料理もさらに力を入れていこうとメニューが進化していると語った。

開店から16年を迎え「やるべきことは、まだ尽きない」と語りながら、日々厨房に立つ亀井さん。

シェフの料理を楽しみにしている常連は「コマチーナの魅力は“粋”。亀井さんの料理は粋なんです。やり過ぎてない感じでちょうどいい」「一般の人がどこでも買えるようなものを、亀井さんがひと手間加えて出しているところがスゴイ粋」と語る。

飾らないシェフが作る、飾らない料理。ぜひ一度味わってみては。

本日のお目当て、コマチーナの「サバのリエット」。 

一口食べた植野さんは「サバの旨味と脂の感じがじわじわと広がっていく。パンと食べるとサバの強い旨味や塩気がまろやかになる」と感動。

コマチーナ「サバのリエット」レシピを紹介する。