高額療養費やOTC類似薬(処方薬)などの患者負担増による「社会保険料の軽減」は年間2200円、月額183円であることが、6日の上野厚労大臣の会見で明らかになった。

『増え続ける医療費を見直し、現役世代の社会保険料の負担減を目指す』としてはじまった医療費改革の議論。

医療費の見直しの、「高額療養費の自己負担限度額引き上げ」、「OTC類似薬(処方薬)の特別料金徴収」は、いずれも患者の負担が大きく増加する形で審議が進んでいる。

そして、上野賢一郎厚生労働大臣は、患者の負担を増やすことで減額される社会保険料は加入者1人当たり「年間2200円」と8日の記者会見で明かした。

内訳は「高額療養費見直しで年間1400円」「OTC類似薬(処方薬)の値上げで年間400円」「OTC類似薬以外の薬剤の見直しで年間400円」だ。

全国保険医団体連合会(保団連)の本並省吾事務局次長によると、現役世代にも患者の多い「花粉症」の場合、薬代が年間4600円の負担増になるケースがあるという。詳しく聞いた。

■OTC類似薬の値上げは1.6倍以上。今後さらに増加へ

【全国保険医団体連合会 本並省吾事務局次長】
「OTC類似薬」とは、医師から処方される「保険適用の薬(処方箋でもらう薬)」のことです。

自民党と日本維新の会の与党は、OTC類似薬の77成分1100品目に対し、4分の1の特別料金を徴収することで同意。
来年3月からの実施を目指し3月中旬に国会に法案が出されます。

4分の1は「薬価」に対してかかるので、窓口での支払い金額は、3割負担の人で1.6倍。2割負担の人は2倍。1割負担の人は3.25倍になります。

保団連の関係者で、花粉症で通院、薬を処方してもらっているAさん(3割負担)の場合、3種類(アレグラ錠、モメタゾン点鼻薬、アレジオン点眼薬)の薬の窓口支払い額は1シーズン(5か月)で5000円の負担増。

OTC類似薬の値上げによって軽減される社会保険料は年間400円なので、差し引き4600円の負担増と言えます。

そして、この「4分の1」の特別料金は、令和9年度以降に負担割合の引き上げが検討されています。

つまり、このままでは花粉症の処方薬はどんどん値上げされていくのです。

【特別料金の計算式(薬価1000円の薬の場合)】

特別料金4分の1(25%)は「薬価1000円」の25%、250円。
残りの750円が保険対象となります。

*3割負担の場合、窓口で支払う金額は300円から475円になります。
【750円×0.3=225円(保険対象分)】+【OTC類似薬“特別料金”250円】=475円

*2割負担の場合、窓口で支払う金額は200円から400円になります。
【750円×0.2=150円(保険対象分)】+【OTC類似薬“特別料金”250円】=400円

*1割負担の場合、窓口で支払う金額は100円から325円になります。
【750円×0.1=75円(保険対象分)】+【OTC類似薬“特別料金”250円】=325円

■命と引き換えの削減は年1400円…

「高額療養費制度」は、病気やケガで保険医療を受け、自己負担額が高額になった時に、一定額を超えた分が払い戻される制度です。

2023年度の利用者は823万人。国民の15人に1人が利用していることになります。

がんや難病の患者だけでなく、骨折や盲腸、白内障の手術などでも利用される、国民の“命のセーフティネット”です。

今、国会で審議されているのは、高額療養費をすべての所得区分で値上げし、最大で38%の負担増になるという見直し案です。

例えば年収650~770万世帯の方の負担上限額は現行の8万100円から今年8月には8万5800円、来年8月からは11万400円へと段階的に3万円以上増えます。

与党は、長期にわたって治療が必要な患者への配慮として「年間上限額の新設」や「多数回該当者の負担額据え置き」などで『セーフティネット機能を強化している』と説明しています。

しかし厚労省の試算では、負担が増える約660万人のうち、強化されるセーフティネットを利用できる人は約50万人。つまり約610万人が負担増となるのです。

長期療養中の患者さんからは、「値上げされるなら治療をあきらめざるを得ない」という声が多くあがっています。特に、教育費がかかる子育て世代にとっては切実な問題です。

「値上げするなら安楽死を認めてほしい」という切実な悲鳴も寄せられています。

高額療養費見直しによって軽減される社会保険料は加入者1人当たり年間1400円。

病気やケガは誰にでも起こり得ることです。

年間1400円のために、命を諦めさせるようなことがあってはならないと思います。
(全国保険医団体連合会 本並省吾事務局次長)

関西テレビ
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