東日本大震災からまもなく15年、岩手県のトップとして復興に取り組んできた達増知事がこの15年を振り返りました。
報道各社の取材に応じ、「被災者の心のケア、経済的困難は大きな課題だ」との認識を示しました。
東日本大震災から15年。
2月16日に報道各社の取材に応じた達増知事は、この15年がもたらした沿岸部の変化について次のように語りました。
達増知事
「宮古港など岩手に寄港するクルーズ船も増えてきていて、今、三陸地域が世界に開かれたなかで15年の節目を迎えている」
県内では宮古港を中心にコロナ禍の後、クルーズ船の寄港が増えていて、2025年度は過去最多の延べ18隻に達しました。
海外からの乗客らが周遊することで経済効果がもたらされています。
また沿岸部では、復興道路などハードの整備がほぼ終了していて、観光客も増加傾向にあり、2024年は504万人あまりと、10年前に比べ約67万人増加しました。
未曽有の災害が発生した15年前、観光客が増加する未来など描けない中、達増知事は悲壮な決意を語っていました。
達増知事(2011年4月)
「今年度は災害対策に県を挙げて取り組むかつてない一年になる。それは行政・地方自治の本質の部分で力を発揮することであり、県という地方自治体の究極の使命を果たすこと」
それから15年、復興は進められた一方で、被災した沿岸部には多くの課題が残されています。
達増知事
「被災者の心のケアの必要性、その背景の経済的、生活上の困難は大きな課題。『いのちを守り海と大地と共に生きるふるさと岩手・三陸の創造』という目指す姿に向けては、やるべきことがまだまだあると感じている」
震災固有の心の問題に加え、コロナ禍の影響、深刻な物価高などが被災した住民に重くのしかかっています。
また、海水温の上昇などを背景に、サケやサンマなど主要魚種の不漁も深刻です。
2025年度のサケの漁獲量は1月末時点で42.5tと、前の年より64%も減少し過去最低を更新しました。
こうした現状をどう打開していくのか、達増知事は次のように述べました。
達増知事
「深刻な影響を経営に及ぼしているので、水産業リボーン宣言をして、取れなくなったものの回復もやるけど、今までやってなかった新しい漁業や養殖もやる」
達増知事は主要魚種の不漁に対抗していくため、サケやマスの海面養殖や、ウニにエサを与えて実入りを良くする「畜養」、高水温に強いワカメやアサリの養殖の取り組みに対し支援を強化したいとしています。
そして震災の伝承も重要な課題です。
2025年に県が県全域の住民を対象に行った意識調査では「震災の風化がやや進んでいる」「進んでいる」と答えた人は合わせて51.7%と、半数を超えました。
達増知事は、陸前高田市の東日本大震災津波伝承館を中心とする発信の強化など、様々な取り組みに力を入れたいとしています。
達増知事
「県外向け情報発信、海外の津波博物館等と連携した交流事業、『いわて震災津波アーカイブ希望』についても活用していきたい」
また、日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震が想定されるなか、県は市町村と連携して車避難のあり方を模索するとともに、避難所の環境改善など防災体制の強化に取り組んでいます。
達増知事
「県民の皆さんが災害を“自分事”として捉えて、平時から住民同士が支え合える体制を強化・実践してもらいたい」
また、被災者の見守りなどについては、2025年度末で国の財政支援が終了することになりますが、達増知事は県と市町村で行う支援は継続する意向を示しました。
達増知事
「孤独死のようなことが起きることは避けるべきであるし、そうしたことが普通以上に防ぐための対策が求められるようであれば、ちゅうちょせず策を講じていきたい」
県では現在「第2期復興推進プラン」のもとで、心のケア、魚の不漁対策、産業の振興などに取り組んでいますが、2026年度には新たに2027年度から始まる「第3期復興推進プラン」を策定する予定です。
達増知事
「どうなれば『復興した』と言える日が来るかということも、発災の時からあった重要な問いであって、今後区切りのつけ方も考えていくことになる」
震災から15年、人口が減少する中、人々の営みや津波の教訓をいかに未来につないでいくのか。
今後のかじ取りが問われることになります。