続いては臓器移植についてです。
こちらは、日本で脳死状態でドナーになった方の数の推移です。
臓器移植法の施行以来、徐々に増えていて2023年は132人となりました。
しかし、先進国の中で見ると最低の水準です。
こうした現状を踏まえ脳死からの臓器移植を描いた劇映画が仙台で公開され、河瀬直美監督が来仙しました。
現在、仙台市青葉区のフォーラム仙台で上映されている「たしかにあった幻」。
カンヌ国際映画祭グランプリ受賞歴もある河瀬直美監督が自身の脚本で製作したフィクションです。
物語の主人公は、フランスから来日した医師のコリー。
日本での臓器移植、なかでも子供の心臓移植をめぐる現実を取材に基づくリアルなフィクションに実際の当事者の声も交えて描き出します。
日本とヨーロッパで異なる死生観や倫理観。
コリーの考えるような小児移植医療はなかなか進みません。
一方、目の前で、消えていく子供の命。
そんななか、コリーの恋人が失踪し、コリーをはじめとする登場人物たちは年間8万人に上る日本の行方不明者問題にも向き合うことになります。
(2024年行方不明者数8万2563人警察庁調べ)
人が存在した証とは何かを問いかける展開で、タイトルの意味を考えさせられます。
この日は上映後、河瀬直美監督、そして、宮城県内に住む横山由宇人さんと父親の慎也さんが登壇しました。
15年前、5歳の時に海外で心臓移植を受けました。
移植によって今を生きる横山さんは、人の支えになりたいと大学では心理学を勉強しています。
4歳の時に突発性拡張型心筋症を発症した横山さん。
医師からは「心臓移植だけが生きる道」と言われたそうです。
しかし当時、日本国内では小児の心臓移植が認められていなかったため、家族は海外での移植を決意。
手術費と渡航費、およそ1億3500万円を募金でまかない、発症の翌年に移植を受けることができました。
横山さんたちは作品で描かれたような臓器移植の現実を語りました。
河瀬監督
「映画の中で言っていましたけれど、『そこまでして、命が助かりたいか。人の臓器を奪ってまで』そういう心無い声を受けながらと言っていました。私は取材を通して聞いたけれどやっぱりありますよね?」
由宇人さんの父親・慎也さん
「そうですね。仙台で募金活動をさせていただいて、1億3500万円という金額でしたけれど、なんであんたの息子だけ助けないといけないんだよ。寿命だから諦めなさいと言われたこともあります。申し訳ありませんというシーンもありました。」
河瀬監督は、横山さんの姿に劇中では描かなかったレシピエントのその後を重ね合わせました。
河瀬監督「久志君だよね、この映画の中で言うと。奇跡のような話ですが、15年後の彼がいるかと思った。」
横山由宇人さん
「周りの理解が移植医療にはすごく大事なものと思っていて、そういった方への感謝も忘れずに自分が生きたいように生きたい。今すごくとても幸せなのでこの幸せが続くように自分の努力を怠らず周りの支えの感謝も忘れないように生きていきたい。」
映画を見た人は
「日本の死生観と海外の死生観は全く違うこともわかったので、今後の死生観を考える上で指針になる映画だった。」
「ドナーになれるかどうかに対して、改めて向き合わなければいけない。考えるとすごく残酷で恐怖があって勇気がいることだけれど、そういうことを考えることが大事なのかなと(思う)」
改めて横山さんに、聞きました。
この映画を通して、知ってもらいたい小児移植の現実とは?
横山由宇人さん
「この映画はとてもリアルで嘘が無い。本当にずっとあんな感じの辛い表情とか、子供たちがずっと待っていたり。それでも一緒に分かち合ったり助け合ったりする闘病仲間もいたりする。(臓器移植について)理解しなくていいし、共感もしなくていいから、とりあえずこういうものという部分だけ知っていてほしい。移植を特別なものとして遠ざけるのではなくて生活の一部というところに目をあててほしい。」
※河瀬直美監督の瀬は刀に貝